「上司の凄惨なパワハラ」半年耐えた銀行員の顛末 結局、僕は最低な上司のやり方しか知らない
【知ってるやり方でしか仕事ができない】
「甘やかすこともできるんだよ? 偉いでちゅね~、よくできまちたね~って。それでおまえは成長できると思うか? なあ? 恥ずかしくないんでちゅか~?」。応接室には二人しかいなかった。誰も彼を止められない。きっと私の自尊心が溶けてなくなるまで強酸性の言葉を浴びせ続けるのだろう――。
入社1年目の夏だった。窓口業務を少し経験した後、基本を知らぬまま融資業務についた。マニュアルを読んでも言葉と知識がつながらない。私の教育係は、一人でほとんどの主要取引先を担当していて外出が多く、次長が実質の教育担当だった。
「おまえの仕事は砂上の楼閣だな。このままだといつか人間としての信用も足元から崩れるよ?」
本店審査部から来た次長。行列をなすアリを一匹ずつ指で丁寧に潰すように、私のミスを一つひとつ指摘した。そして心を抉るための言葉を吟味し、時間をかけてこき下ろすのが彼のスタイルだった。業務時間だけでは終わらない。仕事が終われば居酒屋で私の品評会が開かれた。


















