「上司の凄惨なパワハラ」半年耐えた銀行員の顛末 結局、僕は最低な上司のやり方しか知らない
「おまえさあ、当然のことを正面から言うだけじゃつまらないんだよ。お笑い芸人を見て勉強しろ、なあ? プライドが高いんだよ。もっとバカになってみんなを楽しませてみろよ?」。うんうんと頷く者、笑いながら聞く者。周囲も同調した。男子校の部活みたいなノリが欲しかったのだろう。
そのうち頭痛がするような気がしたり、熱っぽい気がしたり、風邪をひいたような気がして毎朝体温を測るようになった。いつも平熱だった。眠る時は翌朝に発作が起きてベッドから起き上がれなくなることを祈った。休む口実を探しているのは自覚していた。それでも毎日、始業の1時間前には出社した。
ついに、次長の小言に逆上
半年ほどは耐えたが前頭葉が疲弊して抑えが利かなくなっていたのかもしれない。ついに次長の小言に逆上してしまった。「ミスが多くて申し訳ありません! でも私の人間性を揶揄するのはやめてください!」「一丁前に口答えか? いいよ、聞いてやるよ。ちょっと来い」。私は応接室に連れて行かれた。
「オレも長年部下を見てきてるからさ、いくらでも演技してやるよ。優しい次長さんになってやろうか?」「そういうことじゃないんです! 私の人間性にケチをつけるのをやめてほしいと言ってるんです!」「まあ遠慮するなって」。全く意に介さない次長に私は苛立ちを隠せなくなっていた。
意地の悪い笑いがそのままシワになって刻まれたクシャクシャの顔。不気味で不愉快だった。どうすれば彼に一矢報いることが出来るのかわからなかった。目に涙が溜まり視界が歪む。早々に涙声になり心が折れかけている私を楽しそうに追い詰める次長。口撃を緩めることはなかった。
「甘やかすこともできるんだよ? 偉いでちゅね~、よくできまちたね~って。それでおまえは成長できると思うか? なあ? 恥ずかしくないんでちゅか~?」。別の担当者に私の面倒を見させる。おそらくかなり早い段階で用意していたであろうこの結論を彼が持ち出すまで半日かかった。