【更年期障害】動悸や関節痛など、意外な症状も 診断のポイントや、間違いやすい病気も解説

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女性は左右の卵巣にたくさんの卵子(原始卵胞)を持って生まれるが、その数には個人差があり、さらに加齢によってどんどん減っていく。平均すると、産まれたときには約100万〜200万個あったものが、思春期で約20万〜30万個、30代で2万〜3万個ほどに減る。

思春期以降に準備が整うと、脳の視床下部の指令により「卵胞刺激ホルモン(FSH)」が分泌されることで毎月複数の卵子が成熟し、そのなかの1つが選ばれてより成熟していく。残りの卵胞は萎縮してエストロゲンを分泌する。

こうして卵胞ホルモンが急増すると、今度は卵胞を黄体に変化させる「黄体形成ホルモン(LH)」が分泌され、これが刺激となって排卵が起こる。排卵後は黄体が「プロゲステロン(黄体ホルモン)」を分泌して子宮内膜を厚くするが、妊娠が成立しないと不要になった子宮内膜が剥がれ落ちることで、月経が起こる。

しかし、年齢を重ねるにつれて卵子の数は減っていき、こうした卵巣の機能も低下し、閉経へと向かうことになる。ただ、月経は急にピタッと終わるわけではない。月経が丸1年間止まれば、“振り返ってみて閉経した”ということになる。

「最後のほうは、月経が頻繁に来たり、急に来たと思ったら大量に出血したり、出血が長引いたりすることもあるでしょう。エストロゲンの分泌量もゆらぎながら低下していきます。そうして徐々に月経間隔が空いていき、やがて閉経を迎えるのです」(牧田さん)

エストロゲン分泌低下で起きる変化

エストロゲンは「女性らしさを作るホルモン」ともいわれ、肌や髪のうるおいを維持する、おりものを分泌する、丸みのある体を作るなどの働きがある。そのためエストロゲンが減少すると、肌や髪がカサつきやすくなったり、シワができやすくなったり、おりものの分泌が減って腟が乾きやすくなったり、乳房が萎縮したりと体型に変化が起こることもある。

さらにエストロゲンは体のあらゆる器官に影響を与え、健康を維持している。脂質代謝、血液循環、血管壁の柔軟性の維持、骨形成などに大きくかかわっているのだ。

「そのためエストロゲンの分泌が低下した更年期以降は、脂質の代謝が落ちてコレステロール値が上がる脂質代謝異常や、血液循環や血管壁の柔軟性が低下することで動脈硬化や心血管疾患などが起こりやすくなります。そして、先々には骨の形成が追いつかなくなり骨粗鬆症になるリスクも上がります」(牧田さん)

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