ドコモが「動画配信」でアベマに突きつけた挑戦状 かつての覇者「dTV」リニューアルに賭ける思惑

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現状、国内における広告付き無料配信のサービスモデルと言えば、ABEMAのほか、在京在阪の民放10社が運営する「TVer(ティーバー)」が広く知られている。

各局がテレビ放映した番組をそのまま配信できるTVerに対し、自らコンテンツを制作・調達する必要があるABEMAは、2016年の開局以来いまだ黒字化が見えていない。3月中旬、自身のブログで2026年に社長を退任すると表明したサイバーの藤田晋社長も、そのブログ上でABEMAを「自分の最後の大仕事」だと記している。

ABEMAと同様にコンテンツを独自で用意しなければならないドコモにとって、今回の転換は、以前に増して収益化のハードルを上げているようにも映る。なぜ自ら茨の道を行くような選択を下したのか。

動画配信サービスを支える隠れた存在

ドコモの戦略を理解するうえでカギとなるのが、周辺ビジネスの存在だ。

「広告付き無料配信+有料プラン」のモデルを支える収益源として、すぐに思い浮かぶのは広告収入や有料会員収入だろう。

しかしABEMAの場合、売上高の50%近くを「周辺事業」が占めており、月額課金や広告による収入を大きく上回る。周辺事業の牽引役は、ABEMAの競輪・オートレースチャンネルと連動した、「WINTICKET」というインターネット投票サービスだ。

こうした周辺ビジネスでの収益拡大を目指す動きは、有料の動画配信サービスでも見られる。一例が、2022年12月にサービスを開始した月額550円の「DMM TV」だ。DMMは電子書籍やオンラインゲーム、英会話サービスなど数多くの周辺事業を展開しており、DMM TVの会員となることでそれらの特典も利用できるようになっている。

DMM.comの村中悠介COO(最高執行責任者)は「550円でやっても収益性は乏しい。あくまでDMMの他のサービスを利用してもらうための入り口だ」と話す。

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