上司「息子さん、また血を吐いたので、救急車を呼んだところです」
電話口では救急車のサイレンが鳴り響いていた。田中さんは頭が真っ白になる。
上司「息子さんと一緒に病院に戻ります。そちらには私の息子を行かせますから、お近くのコンビニで合流してください」
田中さんは150万円が入った封筒を手にコンビニへ向かった。若い男が「田中さんですか?」と声をかけてきた。「父から、お金を預かってくるように言われて参りました」。田中さんは封筒を渡した。男は頭を下げ、去っていった。
そのとき近くを黒っぽい車がゆっくり走行しているのが田中さんの視界に入る。妙な胸騒ぎがした。
自宅に戻った田中さんは、すぐ名大病院に電話をかけた。「そちらに青木さんという医師、おられますか?」と尋ねると、「おりません」と返ってきた。
日は、とっぷり暮れていた。
高齢者を喰う若年層
当時を振り返りながら、田中さんはため息をつく。「息子が血を吐いたなんて聞いたら母親は動揺する。そんな親心に付け込むようなこと、誰がやっているんでしょう」。
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