不貞相手への慰謝料請求が欧米で認められない訳 貞操は法的にみればあくまで配偶者間の約束

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一方、婚姻破綻後、あるいは離婚後の請求についていえば、損害賠償を求めるというより、むしろ、相手を法廷にさらして復讐したいという気持ちが強く出ているような場合もあり、これは、「法廷は復讐の場所ではない」という近代法の原則に反していないかとの疑義もあります。

さらに、不貞の立証は、探偵社による無断撮影、パソコンや携帯電話の内容の無断コピーといった、欧米標準では違法収集証拠と評価される可能性のある証拠によらないと確実なものになりにくい点にも、問題があります。不貞慰謝料請求を許すことによって、司法がそうした証拠の収集を容認していることになる結果を招くからです。

現に、私は、第三者に対する不貞慰謝料請求事件で、不貞をした夫である外国人男性(証人として出廷)から、「日本の裁判所はこのような証拠を許容するのですか?」と抗議され、釈明はしましたが、「確かに外国人からみれば疑問だろうな」と、後味があまりよくなかった記憶があります。違法収集証拠の疑いのある証拠の許容性について、日本の実務は、刑事、民事を問わず、全般に甘すぎるように思います。

ちょっとどうかという訴えも……

実際、この類型の事件には、いろいろと変わったものがありました。いくつか挙げてみましょう。

① 夫が関係した相手が未成年の少女であり夫には青少年保護育成条例違反の問題がある(つまり少女は犯罪の被害者である)のに、加害者の妻からその少女に対する不法行為損害賠償請求を許してよいのかが問題となったケース。

② アメリカ人男性がアメリカ人男性を訴えているのですが、2カ月間しか結婚していなかった妻はすでにヨーロッパに移って別の恋愛関係を楽しんでいるというケース。

このケースでは、私は、「証拠からみるとあなた方は全員自由恋愛論者のように思えます。それなのに、どうしてこの訴えを起こしたのですか?」と原告に尋ねてみたのですが、答えは、「日本では請求が認められると聞きました。で、それじゃあせっかくだからやってやろうじゃないか、と思いましてね」ということでした。

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