三菱重工MRJ、初飛行の延期でどうなる? 2017年の初号機納入に向け、開発は正念場に

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三菱重工業の鯨井洋一副社長(左)、三菱航空機の森本浩通社長らも出席して、最新の状況を説明した

いずれにせよ、最大の焦点は2017年4~6月を予定する初号機納入のスケジュールを守れるかどうか。旅客機の開発は、実際に飛んでからが大きな正念場だ。

機体の開発において、飛行試験開始後の大きな作業は二つある。まず一つ目は、実際に集めた飛行データを解析・分析して、その結果をもとに改良すべき点は改良し、最終設計に仕上げること。もう一つは、地上試験や飛行試験の膨大なデータを用いて安全性を客観的に証明し、最終的に国から型式証明と呼ばれる機体の安全認証を得ることだ。特に後者は、旅客機開発における最大の難関と言っていい。

ボーイングの最新鋭旅客機787は、初飛行が2009年12月で初号機納入が21カ月後の2011年9月だった。同じくエアバスの最新鋭機・A350XWBでは、初飛行が2013年6月でカタール航空への初号機納入が18カ月後の2014年12月だった。

ライバルの新機種投入も迫る

MRJの場合、初飛行を9月とすると、納入開始までの期間は19~21カ月。期間自体は787やA350とほぼ同じだが、経験豊富なボーイングやエアバスと違って、三菱航空機はあくまで新規参入組。日程的なハードルは高いと言えるだろう。

新たな開発スケジュールを説明する三菱航空機の岸信夫副社長。「約束している納期は守れる」と強調した

それでも、さらなる納期の遅延は許されない。なにしろ、過去3度に渡るスケジュール延期により、現在の納期予定は最初の目標から4年も遅れている。しかも、MRJの開発が長期化する間に、最大のライバルであるブラジルのエンブラエルは、現行機「Eジェット」の改良型後継機の開発に着手。後継機「E2シリーズ」は、MRJと同じ米プラット&ホイットニー社の最新鋭エンジンを搭載する。主翼なども改良することでMRJと同等の燃費性能を謳っており、2018年前半から納入を開始する計画だ。

仮にMRJが開発作業に手間取り、納期がさらに遅れるような事態になれば、今後の受注に深刻な打撃を及ぼしかねない。「初飛行、初納入に向けて、開発作業はいよいよ佳境に入る」(三菱航空機の森本浩通社長)。半世紀ぶりとなる国産旅客機・MRJの開発は、まさに時間との戦いになってきた。

渡辺 清治 東洋経済 記者
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