防衛大学校を志望する息子を翻意させたい 住環境やレベルを基に反対しても通じず

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「勉強に打ち込む環境にない」は、本当かどうか知りませんが、とても高いレベルで勉強した人の活躍はよく報じられていますし、「さらに高いレベル」の海外の幹部養成大学へ留学する制度もあります。

住環境や寮生活にもそれなりの理由があり、掃除当番など厳格に決まっていて、とても清潔だそうですよ。幹部専用の宿舎に招かれたことがありますが、劣悪ではありません。あの分厚い生地の制服のアイロンがけも、皆さんとてもうまく、上手なのはいいことです。

「裕福なのにその選択は理解できない」とのことですが、私の知り合いの幹部には、愛媛の地主の跡取り息子や学者、企業家の息子などがいました。親も子も多士済々でしたし、先輩の靴磨きなどは、今もあるのかどうか知りませんが、それも多くの会社で行われている“下からの修業の一環”と思えなくもありません。私はある会社で、東大卒の新入男子社員が、お行儀の悪い女子たちが使うトイレの掃除係をしているのを見て、驚いたことがあります。

先輩の靴磨きやアイロンがけなど、ブラック企業の過酷さに比べればどれもかわいいものです。今では、先輩が飲み会に誘っても平気で断る後輩が続出し、昔なら蹴り上げられたケースでも、今では「じゃ、また」と先輩が引き下がるそうです。先輩と後輩との距離が縮まらないと嘆いていましたが。

自衛隊の人気は高まる一方

1992年、カンボジアに道路などを造るため、自衛隊がカンボジア平和協力隊として派遣されました。私が親しくしていた部隊にも派遣命令が出て、友人の佐々さん(仮名)も行きました。長年、夜中に橋を造り、翌朝には壊して撤収する訓練などをしてきた彼にとって、壊さなくていい道路を造り、感謝される仕事は最高だったそうです。

その3年後に阪神大震災が起こりました。日頃の訓練の賜物による自衛隊員の救助活動を目にしたことで、人々の評価がガラリと変わりました。その結果、自衛隊員になりたいという青少年の声が、メディアに取り上げられるようになりました。自衛隊員募集係の人たちは、昔の苦労がウソのようだと嬉しい悲鳴をあげ、今では防衛大学の競争率は25~35倍だそうです。

加えて、お見合い相手の人気職業のひとつが自衛隊だったとも聞きました。私の友人の自衛隊幹部は、「自分たちが日陰の身でいるときが平和な時代」だと言っていましたが、別の意味で脚光を浴びる時代になったのです。

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