「アメリカの歴史は白人が創った」主張に見る過ち ヨーロッパ人入植の背景、国が形成される過程

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それは、人種や民族を問わず、移民全体にいえることなのですが、白人と非白人というカテゴライズを内部者と外部者に、そのまま適用しようとする人々がいます。

「アメリカは、白人がつくった国であるのに、黒人やヒスパニック、アジア系が治安悪化、雇用機会の侵蝕などの問題を引き起こし、白人社会を棄損している」と主張され、白人の不満が鬱積しています。

一部の急進派は「合衆国の歴史はWASPによってつくられた」と主張しますが、正しくは「建国の歴史」がWASPによってつくられただけであって、合衆国の歴史全体は様々な人種や民族によってつくられています。

移民も国家の歴史を形成してきた

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アメリカは移民を積極的に受け入れて人口拡大し、国家の歴史を形成してきたという事実を否定することはできません。

しかし、「アメリカは、白人がつくった国」という感覚が、白人の間で常に共有され、白人ナショナリズムが形成される土壌となっています。われわれ日本人はアメリカを「多民族国家」「人種の坩堝」とイメージしますが、白人にとっては、そうしたイメージは、われわれが考える以上に希薄です。

アメリカは人種の多様性を寛容に認めてきたとする定型的な図式が経済成長の低迷とともに、すでに通用しなくなっているという現実があります。

宇山 卓栄 著作家

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うやま・たくえい / Takuei Uyama

1975年、大阪生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。代々木ゼミナール世界史科講師を務め、著作家に。各メディアで、時事問題を歴史の視点でわかりやすく解説。著書に『朝鮮属国史 中国が支配した2000年』、『韓国暴政史 「文在寅」現象を生む民族と社会』、『経済で読み解く世界史』(以上、扶桑社)、『民族で読み解く世界史』、『王室で読み解く世界史』(以上、日本実業出版社)、『世界史で読み解く天皇ブランド』(悟空出版)、『民族と文明で読み解く大アジア史』(講談社)など、その他著書多数。

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