「救急動物病院」取材で知る、"犬の血液型は8種類" 肉球でわかる病気、夜間に多いトラブルは?

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前足と後ろ足にある愛らしい肉球も、体調悪化の1つの重要なサインとなる。犬の散歩をする際、猛暑の日中に肉球が熱いアスファルトに触れて火傷をしたり、とがった石などで傷ついたりすると、雑菌が入って化膿することもある。肉球が紫色になっていたら、血栓症を疑う必要もある。

「ペット」看護師という資格も

2020年頃からの新型コロナウイルスの感染拡大で、家にいる時間が長くなり、いやしとして犬や猫などのペットを飼い始める人が増えた。

ペットフードメーカーの業界団体、一般社団法人ペットフード協会のまとめによると、2022年の犬の飼育数は705万3000頭、猫は883万7000頭に上っている。新たに飼育し始めたのは、同年で犬が42万6000頭、猫が43万2000頭で、コロナ前となる2019年の犬35万頭、猫39万4000頭をそれぞれ上回った。

同協会では平均寿命も発表している。犬の平均寿命は14.76歳で、2010年に比べ0.89歳、猫は15.62歳で同じく1.26歳延びており、長寿化の傾向を示している。

夜間救急動物病院目黒の小林良院長(獣医師)。同院では動物に対する救急医療を、獣医師2~3人、動物看護師2人の体制で提供している

2019年6月、愛玩動物看護師法が議員立法で成立。2022年5月に同法が施行、同年11月に第1回愛玩動物看護師国家試験の予備試験、続いて翌年2月に本試験が実施された。同法制定の背景には獣医療の高度化などを受け、チームによる獣医療提供体制を整備する必要があったからだ。

同法で愛玩動物看護師は、獣医師の指示の下で診療の補助ができると規定。その診療の補助とは具体的には、薬剤の注射、採血、カテーテル留置、投薬などとしている。

高齢化の影響で、獣医療では救急ニーズの増加に加えて、糖尿病といった慢性疾患、さらには終末期医療への対応も必要になってくる。言葉で症状を訴えることができない動物医療の現場では、獣医師や動物看護師たちが動物の体調変化を示す“サイン”を見逃さないようにしながら、スピード勝負の獣医療を提供している。

君塚 靖 えむでぶ倶楽部ニュース編集部 記者

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きみづか やすし / Yasushi Kimiduka

証券・金融畑の記者を経験した後、医療系記者に転身。2018年1月にメディカル・データ・ビジョンに入社。同社情報誌「えむでぶ倶楽部ニュース」編集部で医療・健康情報のデジタル化と位置付けられる、人が一生涯の健康・医療情報を自ら管理できるPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)についてや、コロナ禍で非接触型医療の新たな形として注目されるオンライン診療などについて執筆している。同社の医療情報サイト「めでぃログ」ポータル(https://portal.medilog.jp/)向けにも記事を執筆している。

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