中国で苦戦する日本企業にありがちな過ち 「真の課題」が存在しているのはどこだ?

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ある意味、総合診断―ヘルスチェックをする感覚だ。ここで、心から信頼のおける中国人の存在が役に立つ。通訳を介していてはコミュニケーションのスピードも、理解の深さにも限界がある。自分と完全に考えやビジョンを共有できている仲間に、自分の目として口として、現場に入り込んで実態を探ってもらうのだ。

効率的に課題を洗い出す

なお、内部のリソースが限られている場合、コンサルティング会社など外部を使ったほうが効率的なこともある。たとえばアクセンチュアでは、中国で業務調査(特にバックオフィス関連)を実施する場合、以下のフレームワークに基づいて効率的に課題を洗い出していく。

また、コンサルティング会社を使うことで、第三者の視点で、客観的に課題を指摘できることもひとつの価値がある。前任者否定につながったり、力関係上、営業の課題を強く言えなかったりなど、せっかく見つかった課題が矮小化されてしまうケースはゴマンとあるからだ。

さて、沢木たちは洗い出された課題を前に、何にどんな順番で取り組むことに決めたのか。引き続き議論を追ってみよう。

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沢木は赤色のマーカーを手に取り、コンサルタントの久保田に問いかけた。

「まずは“創って、作って、運んで、売る”というバリューチェーンを再構築することから始め、その後で、ヒト・モノ・カネといったリソースがうまく事業側に流れるバックオフィスの仕組みを整える、というのが常識的なアプローチですかね」

「そうですね。ただし、御社の場合は、先ほども課題として報告しましたが、直近で対応すべきテーマが2つあります……。“モノの流れの目詰まり”と、“カネの不正流出”です」

沢木は苦いものを飲み込んだような顔をした。

「いくらテレビCMなどで消費者の需要を開拓しても、欠品や過剰在庫など、中間流通に課題があり、市場にモノが出ていかないのでは売り上げにつながりません。また、今の貴社は、売り上げを伸ばしても、“穴の開いたバケツ”に売り上げを流しているようなもので、カネが不正にどんどん出て行ってしまい、利益が残らない状況です」

沢木はわかったというふうに手で制し、張のほうに向き直った。

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