中国で苦戦する日本企業にありがちな過ち 「真の課題」が存在しているのはどこだ?

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沢木の会社では、毎年、本社人事部主体で満足度調査は実施していたが、5段階評価のおざなりなものであって、この機会に社員の具体的な生の声を引き出して経営改善のヒントにしたいと考えた。

今回の合宿1日目で調査結果の報告があり、その報告を踏まえて張やコンサルタントを交え議論を繰り返した結果、ようやく課題の全体像が見えつつあった。

沢木は、バリューチェーン全体にわたって課題が網羅されたホワイトボードを、腕組みをしてしばらく眺めていた。

「まったく、想像以上にひどいな。ただし、2年間の期限までに解決して再び成長軌道に乗せなければ、おれはクビだ(笑)」

沢木は冗談めかして言ったが、半分本気だった。そのくらいの覚悟でやるつもりでないと、中国に飲み込まれてしまうだろう。(続く)

課題分析の決め打ちは御法度

中国を再成長の軌道に乗せる場合、当然、課題分析から入ることになる。ただ、拙速な“決め打ち”はご法度だ。まずは現地現物で、主要拠点のあらゆる機能を調査することが必要となる。

「営業に問題があるから」と営業マンにヒアリングするというだけではなく、その前後の工程(開発、受注、物流、生産)や、営業オペレーションを下支えするバックオフィススタッフ(財務、人事、購買)にもヒアリングしたほうがいい。

というのは、真の課題は、部署と部署の間、プロセスとプロセスの間に存在することも多いからだ。

たとえば、本社で集中処理をしているはずの受注業務がうまくいかず、結局営業がエラー対応や顧客への説明などで忙殺された結果、店舗回りなどの本来の仕事にしわ寄せがきている、というケースなどがある。

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