今回も上西議員が世論(=第一次感情)に寄り添った会見をしなかったことが、国民のさらなる怒りを買い、怒りの連鎖につながっています。さらなる怒りとは、たとえばメイクのことをテレビ番組で揶揄されたり、傲慢さを彷彿させる学生時代のエピソードを週刊誌に掲載されたり、父親への自動車貸与を経理処理したことを批判されたりという具合に連鎖しています。
飛び火させないための「けじめ」が必要
では、具体的に上西議員はどう立ち回れば世論を軟化させられたでしょうか。月並みですが、それには「けじめ」を示す必要があったと私は考えます。言い訳がましいことを連呼せず、心からの謝意を示し、比例復活で当選した己の立場をわきまえて議員辞職していたほうが、世間の怒りをメイクなどの本質からずれた事象に飛び火させずに済んだかもしれません。
アンガーマネジメントでは、「ソリューション・フォーカス・アプローチ」の考え方を重視しています。これは、未来志向、解決志向と訳され、原因の追究をせず、未来の解決像を構築していく点に特徴があり、結果的に短期間で望ましい変化が得られやすいとされています。
政治家を一生の仕事と志すならば、目先の地位や立場に拘泥せず、将来はどのような活動をしていきたいか、選挙民から愛され、慕われる政治家とはどうあるべきか、そのために今できる努力は何であるか……等々を、31歳とまだまだ若い上西議員だからこそ、真剣に検討するのが得策のように思えました。
短期的な収益を犠牲にすることで、結果得られる「信頼」を優先したほうが賢明だったのではないでしょうか。アンガーマネジメントとしては、前回の田代まさしさんの記事で書いた「セルフ・ストーリー」や、前々投稿の松岡修造さんに関する記事で書いた「ミラクルデイ・エクササイズ」などを有効活用しつつ、ソリューション・フォーカス・アプローチを講じたかったところです。
そもそも、いったん潔く「けじめ」をつけてしまったほうが、私たち自身、クヨクヨ、イライラすることの少ない快適な生活を送れるものですよね。アンガーマネジメントに興味を持たれたかたは、拙著『パワハラ防止のためのアンガーマネジメント入門』(東洋経済新報社)をご高覧ください。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら