「40代後半女性」が仕事を辞めようと思う瞬間 突然「人のために何かをしたい」と思うように

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――人生の「前半戦」で培ってきたキャリアやスキルを生かして、「終盤戦」は自分のために全力疾走しよう、と。

羽生:でも「自分のために」と言っておきながら、この歳になると不思議と「人のため、世の中のためにできることはないか?」って気持ちになりますよね。

堀井:そうなんですよ。「街をきれいにしよう」とか「子どもたちのために何かしてあげよう」という。あれ、何なんだろう?

羽生:近所に小さな稲荷神社があるんですけど、最近私、気がつくと自転車をキュッと停めて「一刻も早く戦争が終わりますように」などと手を合わせているんですよ。あと、地元の掲示板に「地域のビオトープのパンフレットの編集メンバー募集」のポスターを見かけて「楽しそう! 時給1000円くらいだけどこの町のみんなと編集してみたいな」とか。

「自分のため」ではなく、「人のため」に生きようと思うようになってきたと語る羽生さん(撮影:梅谷 秀司)

50歳にもなると得手、不得手も明確になる

堀井:他人のために、自分の余っている力や時間を使いたい、みたいな気持ちになりますよね。50年も生きていると、これが得意でこれが苦手、というのが明確だから、その意味ではムダなく、迷惑をかけずに社会に貢献できるのもあるかもしれませんね。

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羽生:私も自分を外側から観察している感覚はあります。「こういうところはお力になれそうだな」みたいな。

堀井:以前に視覚障害の方を誘導するボランティアに応募しようとしたら、娘に「ママ、迷惑かけるだけだからやめて!」って止められたんです。「絶対に道に迷ったり、モノを落としたりするから。だったら絶対音訳のほうがいいよ」って(笑)。あれは適切なアドバイスでした。

人生の終盤戦での社会貢献は、未経験のまま土足でズカズカ入るのでなく、「ここなら力が注げるな」という領域を見極めてスマートにやれるといいですね。やりたいですね。

(構成:堀尾 大悟)

堀井 美香 アナウンサー

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ほりい みか / Mika Horii

1972年、秋田県生まれ。1995年、TBSにアナウンサーとして入社。永六輔、みのもんた、久米宏、竹中直人(いずれも敬称略)など、個性的な先達のアシスタントを長年にわたって務めた。2022年3月に退社し、現在はフリーランスアナウンサーとして活動。

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羽生 祥子 ジャーナリスト、女性活躍推進家、メディアプロデューサー

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はぶ さちこ / Sachiko Habu

京都大学卒業後渡仏。帰国後に無職、フリーランス、ベンチャー、契約社員など多様な働き方を経験。編集工学研究所で松岡正剛氏に師事、「千夜千冊」に携わる。2005年現日経BP入社。「日経マネー」副編集長を経て「日経DUAL」「日経ARIA」「日経xwoman」を創刊し総編集長に。2022年独立。大阪・関西万博2025 Women’sPavilionWAプロデューサー就任。

20年以上におよぶ記者・編集者キャリアのなかで、3万人以上の働く女性と3000社以上の企業を取材してきた経験を基に、働く女性の声を発信している。著書は『多様性って何ですか? D&I、ジェンダー平等入門(日経BP)』。羽生祥子公式Twitter

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