名物記者が指摘「鉄道車両見れば経営状態バレる」 テレビや趣味誌とは違う経済誌ならではの視点

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――佐藤さんは鉄道がかなりお好きですよね。新型車両の報道公開などでの佐藤さんの突っ込んだ取材ぶりに、鉄道への愛を感じます(笑)。

佐藤嘉彦(さとう よしひこ)/1980年生まれ。2005年に日経BPに入社。2008年まで「日経ビジネス」にて白物家電、自動車、飲料業界や遊軍を担当。2009年から「日経トレンディ」、2019年から「日経クロストレンド」を経て、2020年4月に再び「日経ビジネス」記者。小売りと鉄道、運輸、観光・レジャー業界を担当する

小学校、いや、幼稚園の頃から鉄道が好きでした。就職のときは「四六時中、鉄道と接していられる鉄道会社に就職したら幸せだろう」とも考えたほどです。でも、自分の大好きな古い車両を引退させざるをえないときに、冷静な判断ができないかもしれないというわけで、最終的には鉄道業界ではなく、出版社への就職を決めました。でも、鉄道というテーマで話が進んでいるのですごく言いづらいのですが、実を言うと鉄道よりもバスのほうが好き。

――えっ、そうだったんですか。

鉄道もバスもどちらも好きですが、どっちが好きですかと聞かれたらバスのほうが好きです。

――バスのどういうところが好きなのですか。

鉄道はオーダーメイドで造られるので基本的に会社によって車両が違いますよね。でもバスはレディメイド、しかもメーカーは今は日本に2社しかないので、事業者はそのどちらかを購入するしかない。その中で、いすの色や形が違っていたり、ドアの位置が違ったりしていて、その細かい違いが楽しい。また、バス業界は鉄道と違って新規参入しやすい。だから新しいものがどんどん出てくる。そういう意味でも面白い。

収支については意識的に考える

――鉄道に話を戻します(笑)。経済誌が鉄道を特集するということについてどう考えますか。鉄道を廃止すると寂しい、乗る人が少しでもいたら残すべきだという見方もありますが、経済的な側面から見ればほかの交通モードに置き換えるほうが、効率的だし利便性も高まります。

ビジネスパーソンの人はそうした考え方に共感してくれると思います。以前にコラムで観光列車を取り上げたときに、「その観光列車は儲かっているのかちゃんと調べたのか」という読者からの書き込みがありました。確かにそれはそうだよなと思って、その後は意識的に収支について考えるようにしています。JR九州の肥薩線などを見ていると、観光列車を走らせて、それなりに人は乗っていたけど実際は大赤字だったわけで。車両の製造費や客室乗務員の人件費など多額のお金をかけてもそこから得られる収入は限られる。だから鉄道好きの人や利用者から見ると鉄道は残すべきだとなりますが、経営の視点ではもっとシビアに見なくてはいけない。

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