名物記者が指摘「鉄道車両見れば経営状態バレる」 テレビや趣味誌とは違う経済誌ならではの視点

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――JR九州は株式を上場したことで、それまで利用者や社員、取引先くらいだったステークホルダーが増えて、ファンドのような短期的な利益を追求する株主にも広がってしまいました。

株式上場は鉄道事業にはあまり合わないんですかね。でも、鉄道株はコロナ禍前は利益率で10%くらいはあったので、安定銘柄ではあったのですが、コロナで赤字になってしまった。

――ほかの業界なら売り上げが減ったらその分費用を減らせばいいとなるけど、鉄道会社は費用を簡単に減らせない。売り上げの減少が利益の減少に直結してしまいます。

そうなると設備の更新もできなくなる。車両の新しさを見れば、一発で経営状態がばれちゃいますよね。合理的に考えれば、新しい車両にしたほうが性能もいいし、メンテナンスコストも安く済みます。まさに、鉄道好きの理想と合理性は真逆のところにあるので。われわれも報じるときにそのギャップをどう埋めるかということをつねに考えます。

非鉄道事業を見れるのが強み

――もしかしたら鉄道ファンって、鉄道会社の不合理な部分に引かれているんじゃないか思いました。

対談中の様子(写真:山中浩之)

それはありますよね。時代遅れになった旧型車両に熱烈なファンがいたりしますが、そういうファンへの客寄せを除けば、古い車両をわざわざとっておく合理性ってないですから。鉄道会社の経営状態は、車両の新しさを見ればわかりますよ。

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