「STEM女子」こそ、世界を変えるパワーになる理由 テクノロジーを学ぶと人生の選択肢が広がる

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山田:僕は人の可能性を考えたり、選択肢を広げたりすることが好きなんです。Yokyさんは何かを選択するときに、おもしろいフレームワークを使って判断すると聞きましたが……。

松岡:はい。選択肢が3つあれば、カテゴリー別にそれぞれのスコアをつけて、総合得点を出したりします。

山田:僕の場合は何かを選択するとき、プロコン(Pros & Cons)をまとめて判断するので親近感を抱きました。

松岡:いろいろと共通点が多いですね。

山田:ただ、僕はYokyさんと違って勉強は大嫌いだし、何かの賞には縁がないですけれど(笑)。

STEM女子の分かれ目は小学4年生?

山田:Yokyさんはずっとテクノロジーの最先端で働いてきた「STEM女子」の草分け的存在でもありますね。僕は財団(山田進太郎D&I財団)でSTEM女子を応援しています。日本はSTEM分野を選ぶ女性が圧倒的に少ない。OECDの中でも最低です。

松岡 陽子(まつおか ようこ)/1971年東京都生まれ。1993年カリフォルニア大学バークレー校卒業後、マサチューセッツ工科大学大学院に進み、1998年博士号取得(電気工学、コンピューター科学)。ハーバード大学博士研究員、カーネギーメロン大学助教授、ワシントン大学准教授を歴任。2007年「天才賞」と呼ばれるマッカーサー・フェローを受賞。賞金を元手に、身体面および学習面に課題を抱える子どもたちのためのヨーキーワークス財団設立。2009年共同創業者としてグーグルX立ち上げ。2010年ネストのCTO(技術担当副社長)。その後アップルのヘルスケア部門を経て、 2017年グーグル副社長。 2019年パナソニックに入社し、2020年Yohanaをファウンダー兼CEOとして設立(撮影:梅谷秀司)

松岡:STEM分野に女子が少ないのは、日本だけのことではありませんよ。私がアメリカの大学や大学院で学んでいたとき、いつも女性はクラスに自分1人でした。つねに男性の中にいるから、家に帰って鏡を見て「あっ、私は女性だったんだ!」って驚いたりして(笑)。

その状況は30年近く経った今も、あまり変わっていません。NSF(アメリカ国立公衆衛生財団)のリサーチだと、小学4年生の子に「科学者や数学者になりたい人は?」と聞くと、女の子も男の子も70%が手を挙げる。ところが7年生になると、男の子は60%なのに女の子は40%に下がってしまう。4年生から7年生の3年間に、何かが起きるんですね。

これは別の研究ですが、女の子は「成績が『A』じゃないと『数学が好き』と言っちゃいけない」と思っている。一方、男の子は「『C』だって自分が好きなら好きでいい」と思うのに、です。

さらに、中学生ぐらいになると女の子は「数学が好きなんてカッコ悪い、モテない」と思うようになる(笑)。これは困ったことです。「STEMはカッコ悪くないんだよ!」って伝えないとダメなんです。

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