株価が急落「クレディ・スイス」何がヤバいのか 問題はシリコンバレー銀行破綻の余波ではない

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ヨーロッパでの取引終了後、クレディ・スイスのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の価格に基づく資金調達コストの上昇は、迅速な対応が必要であることを意味していることが明らかになった。

スイス当局が声明を発表する前に、ショルツ氏は「もう何もできない段階を過ぎている」と語っている。

クレディ・スイスは、巨額の取引損失や、3年間で2人のCEOが辞任することとなったスキャンダルなど、長年にわたる財務上の不手際で打撃を受けてきた。同社は、ウォール街の投資銀行を切り離すなど、大規模な再建計画に着手しているが、投資家は、継続的な損失と顧客の離脱がその努力を危うくしているのではないかと疑問を呈している。

アメリカにおける銀行の混乱によるリスクはないが…

15日のヨーロッパ市場が閉じた後、スイスの中央銀行と同国の金融規制機関であるスイス金融市場監督局(FINMA)は、クレディ・スイスの財務の健全性を証明する共同声明を発表した。

クレディ・スイスは、「システム上重要な銀行に適用される、より高い資本と流動性の要件を満たしている」ため、アメリカにおける銀行の混乱から直接のリスクはないと、共同声明では述べている。しかし、クレディ・スイスの株価と債権価格が下落したこと、そして、必要な場合にはスイス国立銀行が支援することも併せて指摘した。

クレディ・スイスの株価は、14日に財務報告管理上の問題を公表したことで、すでに大打撃を受けていた。この問題は、証券取引委員会の調査によって発覚したもので、同社は年次報告書の発行を延期せざるを得なかった。

クレディ・スイスに対する不安が再燃したことで、投資家はスイス企業へのエクスポージャーを心配し、世界の銀行に大きな打撃を与えた。フランスのBNPパリバやソシエテ・ジェネラルのようなヨーロッパの金融機関の株価は2桁下落し、JPモルガン・チェースやシティグループなどのアメリカの金融機関も下落した。

(執筆:Michael J. de la Merced記者、Maureen Farrell記者)

(C)2023 The New York Times 

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