医学部9浪、母の殺害に至った壮絶な教育虐待 家出を試みるも、探偵を雇った母に連れ戻される

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母の虐待行為を止める人間は家庭内にいなかった。父は離婚はしなかったものの長く別居していた。月給はすべて母に渡し、父はその中から毎月3万円だけを受け取っていた。父はどんな思いで暮らしていたのだろうか。

「私の想像ではありますが、別居はお父さんが心身共に健康に過ごすための1つの手段だったのだと思います。同居をしていた時、妙子さんのお父さんに対する暴言はかなりひどいものだったそうです。子どもを守ることは父親の役割ではありますが、お父さん自身がかなり消耗してしまっていたという気がします」

あかりは事件後、「父にも友人や教師にも母のことをどう相談すればいいのかまったく思いつかなかった」と振り返っている。

「私が取材した範囲では、あかりさんは誰にも相談をしていませんでした。幼い頃から親に暴力を奮われ続けた場合、それを暴力だと認識できないこともあるのではないかと思います。

高校生になると、彼女も『これはおかしい』と思って高校の先生に親の暴力を訴えたことはありましたが、取材の中で彼女は『助けを求めるべき状況だったということにそもそも気づいてなかった』ともおっしゃっていました」

親に対する違和感を誰にも相談できないという感情に対して、齊藤さんは共感を覚える部分があるという。

「実は私自身が親に対して思うところはあったものの、自分が親のことで悩んでいるとか、親の言動が行きすぎていると言うこと自体が、とても失礼だという思い込みを持っていたことがありました。

家庭は良くも悪くも密室なので、他人の家庭の様子を見聞きする機会はほとんどありません。生まれて一番最初に接する人から受けてきたことは、それが異常なことだったとしてもおかしいと思えなくなってしまうのではないでしょうか」

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