秩父のDXで「アナログの蓄積」が重要と実感の訳 本質は「人中心のデータプラットフォーム」に
ただし、現状では住民基本台帳をそのまま使うことはせず、プライバシー保護の観点から、一定のデータ処理を施したものを対象としている。また、GPS等による位置情報データについても、自宅の位置や移動経路がわかるなど、プライバシー保護の観点が必要となる。
そのため、ゼンリンでは独自にロケーションデータセキュリティプラットフォームを策定し、その中でプライバシー保護のためのデータの補正などを行ったうえ、データ連携基盤にデータをわたす仕組みとしている。
このような、データ連携基盤をはじめとしたデジタル基盤の活用・運用方法について、デジタル庁は2023年3月1日、第6回デジタル社会構造会議で『令和4年度重点計画策定以降の状況と取組について』を公開。その中で、『デジ田(デジタル田園都市国家構想)における生活サービスの全国的な横展開のイメージ』を示している。
それによると、「エリア軸」で「鍵となる特定分野の取組を軸に、徐々にサービスを拡大」すると同時に、「サービス軸」として「好事例の横展開」を目指すとしている。
今回、取材した事例の場合では、秩父市が単年度のデジタル田園都市国家構想推進交付金事業をきっかけとして、残り2年度の実証が続く地方創生交付金『Society5.0タイプ』事業とうまく融合することで、蓄積した知見を全国各地で横展開できる可能性が高まったと言えるだろう。
住民負担の少ない「地域幸福度」データのあり方
もう1つ、データを集約し分析する仕組みとしてゼンリンが策定したのが、ダッシュボードシステムだ。
これは、デジタル庁が進めている『地方公共団体における地域幸福度(Well-Being)指標』を使って、グラフ等によって“データの見える化”する仕組みの1つである。
デジタル庁が現在考案しているWell-Being指標は、主観的指標(心の因子・行動の因子)と客観指標(環境の因子)など合計56因子ある。
この中から、デジタル田園都市国家構想推進交付金事業では、自治体から国側へ住民を対象とした聞き取り調査やアンケートを報告する。ただし、秩父市と横瀬町によると、住民にとって回答する内容が多岐にわたるため、今回の事業については、必要十分な一定の因子に限定して回答を求める形となる可能性があるようだ。
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