秩父のDXで「アナログの蓄積」が重要と実感の訳 本質は「人中心のデータプラットフォーム」に
期間は、2020年度(令和2年度)から2024年度(令和6年度)までの5年間で、災害時と平時のドローン物流のほか、遠隔医療、共同配送や貨客混載による物流MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)、そしてEVなどを活用したエネルギーマネージメント関連である。対象は、秩父市の中で大滝地域を主体している。
これと並行する形で2022年度(令和4年度)に実施しているのが、デジタル田園都市国家構想推進交付金(デジタル実装タイプType2)事業だ。
この中では、災害時ドローン物流のほか、ベンチャー企業の未来シェアがシステム開発したAI(人工知能)を活用するオンマンドタクシーの社会実装と、西武鉄道や地域交通事業者と連携する観光MaaSの社会実装がある。
これらは、秩父市と隣接する横瀬町とが広域連携することで、人の移動について、それぞれの地域特性を考慮して実施している。事業規模は単年度で1億4000万円とし、そのうち5割を国が補助する形だ。
「データ連携基盤」とは何か?
地域社会での課題解決を目指すDX事業は、国の交付金によるものだけではなく、全国各地にさまざまな事例が存在する。そのうえで、秩父市と横瀬町の事業における最大の特徴は、「データ連携基盤」に対する考え方にある。
秩父市と横瀬町が示す図表によると、データ連携基盤には行政保有データや地域保有データ、さらにドローン配送やAIオンデマンド交通から得たデータが集積される。これらのデータをもとに、地図情報大手のゼンリンが、事業運営管理とシステム管理統括を行う仕組みだ。
ゼンリンの担当者は「データ連携基盤は、国が全国の自治体で運用するためのアーキテクチャーを構築しつつあるものの、サーバーのようなデータをため込む基盤ではなく、あくまでもデータを連携させる基盤である」と説明する。
つまり、行政によるオープンデータなどの静的データと各種サービス事業から生まれるビッグデータとしての動的データを、データ連携基盤でフォーマットを合わせて使いやすくするものである。
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