くら寿司、迷惑客逮捕への「声明」にちらつく懸念 迷惑客にすら配慮したスシローとの「大きな違い」

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もう一点、このコメントでくら寿司の「強気な企業体質」を見た気がしたのは、次の一文だ。「愛知県警中警察署の迅速な行動に心から感謝申し上げます」。

企業が「警察に感謝する」とコメントするのは、かなり珍しい。「今後、このようなことが二度と起きないよう願っております」といった無難なコメントが一般的だ。たとえ加害者であっても、他者への処罰を望むかのようなコメントを出すことに、何のメリットもないからだ。

企業理念に掲げる言葉は「食の戦前回帰」

本論とは少し外れるが、本稿を執筆するにあたって、くら寿司のコーポレートサイトを見て、私は驚いた。企業理念のページに掲げてある言葉が「食の戦前回帰」だったからだ。「添加物を含まない、素材そのものの味わいを求め、『食』が安心・安全だった戦前のバランスの取れた健康的な食生活を取り戻そうという意味の言葉です」とある。

素朴なだけではとどまらず、「戦前回帰」と形容している(出所:くら寿司公式サイト)

「無添加」や「素材そのものの味わい」を標榜する飲食店は相当数に上る。だが、そのことを「戦前回帰」と表現しているのを、私は見たことがない。現代よりも相当貧困であったはずの「戦前の食事」が「バランスの取れた健康的なもの」であったかどうかは、かなり意見が分かれるだろう。いずれにしても「戦前回帰」に例えるあたりに、「独特の社風」を感じるのは、私だけではないはずだ。

「戦前回帰」に続く「存在価値の創出・提供」という項目の一文も、なかなか強烈だ。

「くら寿司株式会社は回転寿司業界の中では後発企業ですが、独自性・存在価値を追求し、発展を続けています。先発企業に学ぶものは少なく、回転寿司事業における商品・店舗・運営方法に先進的なオリジナルシステムを導入」(公式HPより)

「先発企業に学ぶものは少なく」という文言が印象的だ(出所:くら寿司公式サイト)

「先発企業に学ぶものは少なく」とまで、公に言い切ってしまっているのだ。こんなところにも「くら寿司」の「強気な企業文化」が浮き彫りとなっているのではないか。

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