あの財界幹部が「11センチヒール」を履くワケ 驚嘆!吉田晴乃のブルドーザー人生

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――女性の活躍推進という課題については?

これまで生きてきて、今ほど大きなモメンタムを感じたことはありません。このまま女性の活用が本当に進んだとすると、世界はいよいよ日本で真剣にカルチュアルレボリューション(文化面における革命)が進み始めたと思うのではないでしょうか。それができればあらゆる規制緩和が進むし、グローバリゼーションも進む。本当に日本は変わると思います。女性活用を進めることがすべての突破口になるんです。

今回の経団連の人事で、世界のさまざまな人と話をするにつけ、つくづくみんな日本に興味を持っているんだと思いました。はたしてどこまでポテンシャルのある国なんだろうと思って見ていますよ。

11センチヒールで竹馬を履いてでも手を伸ばす

優秀な女性は本当にたくさんいます。これからは、公平な土俵で男性も女性もガチの真剣勝負です。どんと勝負に出たらいいんです。女性にだけげたを履かせていいのかという議論もありますが、どんどん履いたらいいんです。げた履いて自分の身の丈以上に手を伸ばすというのもグローバルスタンダードなんですよ。私なんて、11センチのピンヒールで竹馬まで履いてやってきましたから。手が届きそうなら何でも使いますよ。

日本の女性は「自己肯定感が低い」と言われますが、頭は臓器の一つですから、男女に違いはないと私は思っています。もっと堂々としていいんです。

2014年夏にカナダから帰国した長女の成人式を家族で執り行った。「娘にはこれからは『あなたも発言しなさい』と話している。ワーキングマザーに育てられた子どもとしての視点はとても重要ですから」(吉田氏)

私がBTジャパンの社長に就任したときのことです。グループの会長も英国から出席するという就任パーティーと、娘の高校の卒業式が重なってしまったんです。どちらも一生に1回。悩みました。でも、さすがに自分の就任パーティーを欠席できない。「ごめん、行かなきゃ」と言うと、彼女は「ママはそうやっていつも仕事を選ぶのよね」と言いました。後日、このことをイギリス人の上司に話したんです。すると、彼は顔中を紫にしてこう怒鳴ったんです。「なんでそんなことをしたんだ!会長のスケジュールを変えればよかったじゃないか!」って。そんな発想、普通ありませんよね。でも世界はそうなんです。堂々としていていいんです。

娘とのこういうエピソードは枚挙にいとまがありません。でも彼女はいま20歳。私は50歳。これからまだまだたくさん彼女にお返しができると思っています。あの子が社会に出たとき、私がこれまで一生懸命積み上げてきたものは彼女の資産にもなっているはず。世界でいちばんのベストコーチになれることは確かです。高校の卒業式はもう取り返しがつかないけれど、でも「今に見てろ!」って思っています。今後何十年かで必ず取り返してやるって。

私、墓碑にはこう書こうって決めているんです。「私が愛したのは仕事じゃない、あなたよ」って。娘がいなければ今の私がなかったことは確かです。

堀越 千代 東洋経済 記者

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ほりこし ちよ / Chiyo Horikoshi

1976年生まれ。2006年に東洋経済新報社入社。08年より『週刊東洋経済』編集部で、流通、医療・介護、自己啓発など幅広い分野の特集を担当してきた。14年10月より新事業開発の専任となり、16年7月に新媒体『ハレタル』をオープン。Webサイト、イベント、コンセプトマガジンを通して、子育て中の女性に向けた情報を発信している

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