日銀総裁、「失敗したと言われる筋合いはない」 2年程度で2%の物価目標を堅持

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為替や輸出を通じ日本経済や物価に影響の大きい米国経済については、「民間需要中心にしっかりした回復を続けており、先行きも回復が続く」と強調。「ちょっと前までドルの独歩高が輸出に影響するのではと言われ、製造業の先行指標も若干弱くなったと言われているが、まだそれがはっきりしているわけではない」と述べた。

米国の利上げの時期をめぐっては「米FOMC(連邦公開市場委員会)が決めることで余計な予測をする必要はない」とし、利上げは「米経済金融情勢がしっかりしていることを示し、世界経済にとってマイナスでなくプラス」とした。

日銀によるETF(指数連動型上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)の買い入れによる影響について、「今のところ金融市場に過度の強気化が起きているということはない」と、バブル懸念をけん制した。

仮にバブル的な現象が探知され「(市場が)行き過ぎている場合、ただちに引き締めることはなく、まずマクロプルーデンシャル(金融機関モニタリング)政策がとられる」と述べた。

国内金融機関に相応のストレス耐性

日銀の巨額の国債買い入れと金利低下により、金融機関の主要収益源であった国債運用益が低下しており、日銀による金融機関考査による金融システムの安定維持確保も注目されている。

総裁は「大手金融機関が海外展開を幅広く行っていることや、地域金融機関の収益力がやや低下傾向にあることは、モニタリングの重要ポイント」と指摘。同時に「金融機関は全体として充実した資本基盤を有しており、金利や為替などのショックが生じても相応に強いストレス耐性を持っている」と指摘した。

今回の決定会合から参加した新任の原田泰審議委員(前早大教授)は、日本が完全雇用となる構造失業率を2.5%と試算、日銀公式見解の3%台半ばと異なっている。黒田総裁は「見方の違いが政策運営の違いをもたらすことはない」とした。

 

(竹本能文、伊藤純夫)

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