日本人がわかっていない「公的保険」で賄える範囲 物価高の今こそ保険を見直してみよう
だとしたら、「民間保険」に入るなら、必要最低限、つまり「公的保険」では賄えない部分だけでいいというのが私の考えです。
あまり知られていませんが、欧米の人は必要最低限の保険にしか入りません。ところが日本人は「生命保険」に加入する世帯が多いうえに、「必要なぶんだけ入る」のではなく、「イザという時にどれくらいお金が必要になるのかわからないので、とりあえず多めに保険に入っておく」という発想の人が多いようです。
そのため、日本の生命保険会社はたくさんのお金を集められ、大都市の一等地に大きなビルを建て、その資金力で世界でも有数の巨大な機関投資家と言われています。「生命保険」の市場規模を見ると、日本はアメリカ、中国に次いで世界3位の市場規模です。
アメリカが1位なのは、そもそも人口が日本の約2.7倍で多いのと、日本のように「国民皆保険制度」がないので、入院したらべらぼうに高い医療費がかかるため、アメリカ人は必要最低限の保険に入らざるをえないからです。
州や病院にもよりますが、仮に盲腸(もうちょう)の手術を受けると、300万円前後はかかると言われています。ところが日本では、同じ盲腸の手術が、自己負担6~8万円程度で済みます。
「相手」のセールストークを信じてしまう
もちろんアメリカにも、「公的医療保険」はありますが、高齢者と低所得者を対象としたものに限られているので、多くの人は「民間保険」に入るしかありません。
アメリカではかつて、無保険状態の人を減らすためにオバマ元大統領が「オバマケア」を提唱しましたが、加入できる低所得者の範囲が拡大されただけで、運営するのは民間会社です。しかも、保険によって診(み)てもらえる医師が近くにいないケースもあります。
日本の「国民皆保険制度」のような整備されたものではないために、国民は自分で多額の保険に加入せざるをえず、アメリカの「生命保険」の市場規模は世界一となっているのです。
一方、日本には世界に誇れる優秀な「公的保険」があります。ところが、この「公的医療保険」の保障内容を十分に理解せずに、当たり前のように「生命保険」にも加入するのが平均的な日本人。これでは、世界から「日本人は保険好き」と揶揄されてもしかたありません。このような状況になってしまうのは、「自分」が加入している「公的保険」についてよく知らず、保険を売る「相手」のセールストークを疑うことなく信じてしまうからでしょう。
「公的保険」の保障内容を知り、それで不足すると思われるぶんだけ民間の生命保険で補えばいいわけで、それほど多額な「生命保険」に入る必要はないのです。
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