日本人がわかっていない「公的保険」で賄える範囲 物価高の今こそ保険を見直してみよう

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日本では、だれもが「公的保険」に加入しなければなりません。会社員は会社の「健康保険」に加入し、フリーターやアルバイト、パート、自営業者、主婦などの多くは、「国民健康保険」に加入しています(一定条件を満たすアルバイトやパートは、会社の「健康保険」に加入できます)。

そして、会社員なら給料から天引き、自営業者なら市町村に納付というかたちで、健康保険料を支払っています。収入によっては、介護保険も含めて年間100万円を超える保険料を支払う人もいます。会社に勤めている人は、給料明細を見るたびに「こんなに払っているのか!」と痛感していることでしょう。その代わり、病気になった時には少ない自己負担で、治療を受けられます。

それに加えて「公的年金」が、民間の「生命保険」と同じような役割を果たしています。

「公的年金」は、老後に年金をもらう「老齢年金」のほかに、被保険者が他界しても残された家族の生活を支える「遺族年金」、傷害を負った時に生活を支える「障害年金」があるからです。つまり、仮に家族全員が病気になったり怪我をしても、自分が死んで家族が残されたとしても、すぐに生活に困ることがないだけの基本的な保障は、公的に約束されているのです。

新型コロナ禍では、「公的保険」が大活躍

日本に住んでいる人なら、収入に応じた健康保険料を毎月支払っているだけあって、イザという時の保障の手厚さには目を見張るものがあります。しかも、本来はもっと多くの保険料を徴収しなくてはならないところ、国や地方の税金などの公費を投入して保険料を下げています。

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その真価が発揮されたのは、新型コロナ禍でした。

通常、病気や怪我で治療を受けたり入院したりすると、公的保険に加入している人の多くは、基本的にはかかった医療費のうちの3割を自己負担します(70歳以上は、1~3割負担)。けれど、新型コロナによる治療や入院では、医療費全額が公費で賄われました。

PCR検査も、自治体が検査を委託(いたく)する医療機関や保健所で、検査が必要と判断された人、濃厚接触者と認定された人などの検査費用は無料で行なわれました。ワクチンの接種もすべて無料でした。

コロナに感染して会社を休み、給料が支給されなかった会社員には「傷病手当金」が支給されましたが、自治体の負担で自営業者にまで適用範囲を広げたところもありました。その意味では、普段から「公的保険」に高い健康保険料を支払っていたことは、無駄ではなかったと言えるし、そのために私たちの税金も多く使われました。そう考えると、「公的保険」はおろそかにはできないものです。

荻原 博子 経済ジャーナリスト

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おぎわら ひろこ / Hiroko Ogiwara

 1954年、長野県生まれ。大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。経済の仕組みを生活に根ざして解説する、家計経済のパイオニアとして活躍。著書に『払ってはいけない』(新潮新書)、『老前破産』(朝日新書)、『年金だけでも暮らせます』(PHP新書)など多数。

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