前回大会の時点でプロ野球選手だったのは、山本由伸だけ。それ以外は中学、高校、大学生で、侍ジャパンのユニフォームを着てWBCに出場することを夢見ていた。伸び盛りのフレッシュな顔ぶれがそろったことも、ファンの期待を高めることに大いに寄与している。
大谷翔平やダルビッシュ有などスターが出場
世界に目を転じると、アメリカ、MLB(大リーグ)の対応が変化したことも大きい。WBCは、MLBとMLB選手会が主催している。しかしながらひざ元のMLB球団は過去4回の大会に、一線級のMLB選手を参加させることに二の足を踏んでいた。
MLBでは選手のFA権が確立して以降、年俸が高騰した。スター選手は複数年で数十億円以上の大型契約を結んでいる。いわば球団の資産だ。その選手たちがMLBのリーグ戦とは無関係の国際大会でケガ、故障をして出場できなくなっては大きな資産損失となる。とくに投手はわずかな故障で長期の戦線離脱をすることもありえる。このために選手を出し渋っていたのだ。
それはアメリカだけではない。MLBに選手を数多く輩出しているドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコなどの国もMLB球団の許しが出ず、スター選手を参加させることができなかった。
日本は2009年の第2回大会にはレッドソックスの松坂大輔、マリナーズのイチローが出場したが、2013年の第3回大会はMLB選手は出場せず、2017年もアストロズの青木宣親だけだった。
しかし今回、日本は、パドレスのダルビッシュ有、エンゼルスの大谷翔平とMLBでもトップスターになった2選手が出場するほか、カブスの鈴木誠也(のち辞退)、今季からレッドソックスの吉田正尚も出場する。さらにスター候補で母親が日本人のカージナルス、ラーズ・ヌートバーも参加する。
ちなみにヌートバーの曽祖父のハーバートは、穀物飼料のビジネスで成功をおさめ、全米穀物飼料協会(NGFA)の会長になった。また、ラーズとラーズの兄の母校の南カリフォルニア大に野球殿堂の建物と事務所を寄贈。ラーズは曽祖父が寄贈した施設を使って野球をしていたことになる。ロナルド・レーガン大統領の知人でもあり、驚くべき長命でひ孫のラーズが19歳になった2016年に108歳で亡くなっている。ヌートバーは「いいとこの子」なのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら