日本のドル箱「半導体製造装置」が迎えている難所 米国が求める中国への輸出規制にどう相対するか
松山キャスター:日本経済の核がこの半導体製造装置だ。日本が米国の要請を受け入れて輸出規制強化に踏み切れば、日本経済にはある程度打撃がある。半導体輸出規制強化については米国との間ですでに合意しているという一部報道もある。
甘利氏:外に向けてはリリースしていないが、おそらく日米蘭、半導体製造装置を作っている主要メーカーは米国と歩調を合わせていると思う。すべての半導体という仕切りではなく、ハイエンド(最先端)の半導体、14ナノ以下の最先端半導体製造装置を輸出をしないようにと。中国が最先端半導体を作り、武器に転用されれば、こちらの脅威になる。輸出規制強化は極めて妥当なことだ。中国は「中国製造2025」で主要なものは全部自国で賄えるようにして、対外諸国への影響力を確保するとの経済戦略を打ち出している。それを踏まえて対応しなくてはならない。
「対中輸出規制」か「対中ビジネス」か
松山キャスター:この問題については安全保障を重視するのか、経済を重視するのかという側面もある。
橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):経済と経済安全保障はある意味相反するものだ。必要なところは規制をかけていくべきだが、米国がすごいのは、経済安全保障で中国に様々な規制をかけても中国との貿易額をどんどん増やしているところだ。日本も経済安全保障という形で様々経済行為に規制をかけるにしても、日本の経済が失速しないようにバランスを取らなければいけない。
なんといっても米国はとにかくイノベーション、イノベーションで、様々ものが生み出される、その国力がある。経済のエンジンのアクセルが全開になっている国だから、経済安全保障で多少ブレーキを踏んでもバランスが取れる。日本はまだそこまでイノベーションが生まれるような経済のエンジンが噴かされていない。そんな状況の中でブレーキばかり踏むのには危険性を感じる。
特に半導体製造装置は、米国にとってはあまり自分たちの強みではないから、規制をかけても自国にあまりデメリットはない。日本にとってはものすごい主要な輸出品だ。これにブレーキをかけるということは、日本にとってのダメージもすごく大きい。バランスをとるのは非常に重要だ。