ロシアが「むきだしの力」で行動するしかないワケ 状況は「第1次世界大戦」当時と酷似している

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こうして、「地理」が決まることで、間接的に「歴史」も決まる。「攻められる前に、こちらから攻める」というマインドと、生きていくために「不凍港」を求める動きが合わさる。あなたなら、どうするか。そう、だからこそ、ロシアはつねに国外に進出を繰り返してきた。

もちろん、私はだからといってロシアの過去や現在の行動を正当化はしない。しかしながら、価値判断を除いてロールプレイング思考訓練だけやる。そのうえで自分ならどうするか? オプションを導き出すことがとても大事なのだ。

自らをクレムリンの執務室に置いて、価値判断はせずに、自分がプーチンならどうするかを考えてみることに意義はある。もちろん、違うオプションを導き出すことを試みるなど、相手の立場に立つことはとても重要である。この訓練はビジネスに役立つだけでなく、実際の和平交渉やその進展を読むことにおいても有意義だ。

ロシアに恐怖を与えたNATO東方拡大

1989年に冷戦が終焉し、続く東欧革命により、1991年にワルシャワ条約機構が解体され、ソ連が崩壊。共通の敵を失い、NATOは大きな転機を迎えた。

ソ連の崩壊によりソ連陣営だった東欧諸国が相次いでEUおよびNATOへの加盟を申請したのだ。1999年にポーランド、チェコ、ハンガリー、2004年にスロバキア、ルーマニア、ブルガリア、旧ソ連バルト三国、スロベニア、2009年にアルバニアとクロアチア、2017年にモンテネグロが、2020年には北マケドニアがNATOに加盟。こうして旧ワルシャワ条約機構加盟国としては、バルト三国を除く旧ソ連各国(ロシア、ウクライナ、モルドバ、ジョージア、ベラルーシなど)を残し、ほかはすべてNATOに引き込まれた。

一方で、ソ連崩壊後、誕生したロシアはこのNATO東方拡大に警戒・反発を表明していた。

アメリカの外交官であるジョージ・F・ケナンは、「NATO東方拡大によりプーチンが軍事行動を起こす」可能性を指摘していた。彼は、ソ連の封じ込めを柱とするアメリカの冷戦政策を主導した戦略家である。

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