日本は地震から復興できるが、財政への影響を予測するのはまだ難しい《ムーディーズの業界分析》

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ソブリン・リスク・グループ
SVP リージョナル・クレジット・オフィサー トーマス・バーン

3月11日に発生した地震のショックによって、日本の財政危機が切迫したものになることはなく、政府は厚みのある流動的な国内の政府債務市場から、財政赤字補填のための資金を、地震によって赤字幅が拡大しても、引き続き極めて低いコストで調達することができるであろう。

しかし、市場が政府財政の健全性に対する信認を失い、日本国債にリスクプレミアムを要求するようになれば、いずれかの時点で転換点が訪れる可能性がある。各政党が危機を契機として、長期的な財政上の課題にも取り組む姿勢を強めないかぎり、今回の地震はこの転換点の到来を若干早める可能性がある。

被害の程度を完全に把握するには時間を要するが、被害を受けた地域以外でも、電力供給の制限や、自動車、鉄鋼、石油精製などの一部工場における操業一時停止など、地震の影響が波及している。とはいえ、日本経済は時間の経過につれショックを吸収できる能力を備えている、とムーディーズはみている。一般的に、大規模で富裕な経済は、地域的な自然災害の影響を吸収する能力を有することがこれまで示されてきた。ドイツとイタリアを合わせた規模にほぼ匹敵する6兆ドル規模の日本経済は、まぎれもなく大規模である。

日本銀行も経済の安定性を今後数週間にわたり支えていくだろう。日銀は金融セクターの例外的な資金需要にも対応していくと確約し、すでに12日から13日の週末にかけ、13の金融機関に対し、約550億円の緊急時の流動性を提供した。また、復興のための支出は、非常に効果的で正当性を持つ財政出動策になるとみられ、当面の生産と需要の減少を相殺するであろう。

中央・地方で発生する地震関連の緊急の財政コストは、世界的な金融危機と景気後退がもたらした多額の財政赤字の削減を中断させる可能性がある。しかし、日本の国内貯蓄は潤沢であり、増大する政府の資金需要を賄うことができる、とムーディーズは考えている。

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