ボーナス増額でも「離職者が続出」中小企業の悲鳴 社員も納得できる額を出せたと思ったのになぜ
もし、A社の評価基準が定期的に改定されていれば、このような事態は防げたかもしれません。実際、私が支援を行っているクライアントは、半年ごとに評価内容を見直しています。評価制度は作って終わりではないのです。
そして、上司が社員に評価のフィードバックを行い、共有することも非常に重要となります。そのために私は「育成面談」を実施することを勧めています。
面談では、評価基準や内容をしっかり理解してもらい、自身の現状、今後の目標、目標達成のために取り組むべきことやプロセスをともに確認します。
さらに面談で決めた目標や取り組みについて、定期的に進捗状況を確認していくことができれば、社員が出社勤務でもリモートワークでも評価に差がつくことはなくなるはずです。
ハイブリッド型勤務で、不満を持つ社員
ここまで読んで「年に3回程度の昇給、賞与のために、そんなに時間を割いていられない」と思った経営者もいるかもしれません。
それは人事評価制度が、社員を評価し、給与やボーナス額を決めるためのものだと考えているからでしょう。
前述した「トライアル評価」の仕組みでリーダーが育ち、さらに「育成面談」で社員が育っていく。それによって会社を成長させるのが、人事評価制度の真の目的です。
そういう意識で取り組めば、社員とのコミュニケーションを図り、継続していくことの重要性も理解できるはずです。
昨今、中小企業では優秀な若手が転職してしまうケースが増えています。背景には中小企業と大手企業の給与の格差や、人手不足により採用活動が活発になっていることがあります。特にコロナ禍も4年目になり、経済活動が回復傾向にある今、そのリスクは以前より大きくなっているといえるでしょう。
完全にコロナ前に戻るのはまだ先だと考えられますが、すでに出社とリモートワークをうまく組み合わせたハイブリッド型勤務が定着している会社も多いのが現状です。
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