ボーナス増額でも「離職者が続出」中小企業の悲鳴 社員も納得できる額を出せたと思ったのになぜ
こうした場合、理由は次の2つであることが多いです。A社に辞表を出した3人も同じでした。
(2)同期や同じ部署の社員と金額に違いがあったことに対する不満
この2つは理由が違うようで、根本は同じことにお気づきでしょうか。結局のところ、「評価内容に納得できない」ということなのです。では、渋谷社長はどうすればよかったのでしょうか。
社内でこのような不満が出る場合、人事評価制度の運用方法に問題があることがほとんどです。
まず、評価者が育っていない状態で運用してしまうケースが挙げられます。中小企業では評価を行うリーダー自身もほぼプレイングマネジャーです。個人の売上目標、チームの売上達成など、多くの目標や役割を抱えており、評価が二の次になってしまうことがあります。
評価者に「評価制度は給与やボーナスを決めるためのプロセスではなく、人材育成という重要な役割がある」と理解してもらうところから始める必要があります。
そのうえで部下が納得できるだけでなく、やる気を引き出せるような評価ができるように教育を行わなければいけません。
これを「トライアル評価」として、私のクライアントには評価者に対して少なくとも3回は実施しています。平均は6〜7回です。
私はこのように評価者が育つまでは、給与やボーナスは「鉛筆をなめなめ社長が決める」のほうが、むしろ社員の納得感をえられると考えています。
退職したのは「リモート組」が多かった
このように人事評価制度があるものの、運用がうまくされていないために退職者が出ることは以前からありました。
そして、コロナ禍になって増えたのが、出社していた社員とリモートワークの社員とで評価に差がつき、リモートワークの社員が退職を決断するというケースです。まさにA社の3人もこのパターンでした。
みんなが同じオフィス内で仕事をしていたコロナ前と評価基準が変わらないままでは、リモートワーク組を適正に評価できなくて当然です。社員が「会社の方針でリモートワークだったのに」と不満を感じるのは当然でしょう。
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