鉄道業界が怯える消耗部品の調達難、JR西に続く運行本数削減はあるか【震災関連速報】

JR西日本が4月2日から始める在来線の運行本数削減策が、鉄道業界に波紋を呼んでいる。東日本大震災の影響で、鉄道車両のモーターに使う「直流電動機ブラシ」と呼ぶ消耗部品の調達が困難になったことが要因だが、問題はJR西日本1社にとどまらず、日本の鉄道業界全体にも広がりかねない事態が想起されている。

JR西日本の在来線車両は約4700両のうち、半分を占める約2300両に直流電動機ブラシが使われている。電動機ブラシは直流モーターを回転させるために電気を流す役割を担う。回転部に接触してどんどん摩耗するため、一定の使用期間を過ぎれば交換しなければならない消耗部品である(写真)。



(出所:JR西日本報道資料)

最新の電車はブラシレスモーターを使った車両が多いが、一昔前の旧型電車は直流モーターを使っているため、電動機ブラシが欠かせない。JR西日本の問題は旧型電車の割合が高いうえに、電動機ブラシの8割を日立化成工業から調達していることだ。電動機ブラシの生産にかかわる日立化成のグループ2工場は、震災の直接的被害や東京電力・福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故に伴う避難指令によって震災直後から操業停止が続いており、25日時点で再開のメドが立っていない。原発避難地区の工場は人が立ち入ることすらできない状況で、操業停止はかなりの期間に及びかねない。

東日本で起きた地震が、めぐりめぐって西日本の鉄道会社の一部運休につながるということ自体が驚きだが、問題はそれだけで終わらない。実は日立化成が国内の鉄道向けに供給している電動機ブラシのシェアは、推定で5割程度と絶大。この供給が途絶し当面復旧のメドがたたないとなれば、ただでさえ震災や計画停電に揺さぶられている関東系の鉄道会社を含め、中京圏、西日本を含む日本の鉄道業界全般にも同様の影響が出るのではないか、と関係者が身構えるのも無理はないだろう。

東洋経済は、電動機ブラシの調達をめぐる鉄道主要各社の状況を緊急聞き取り取材でまとめた。各社とも程度問題はあれ、少なからぬ影響があることが判明した。


個別に見ると、まずJR東日本は在来線の1万0742両のうち、電動機ブラシを使う車両が1790両ある。全体に占める比率は約17%とJR西に比べ低いものの、対象車両の絶対数は決して少なくない。依存度は公開しないものの日立化成がメインサプライヤー(調達先)となっている点はJR西と同じであり、日立化成の供給が止まっている影響は小さくない。JR東は在庫事情などから4月中の運転には支障がない。5月以降については「国や他の鉄道事業者、部品メーカーと一体となり、影響がないようにしたい」というが、見通しは完全透明とはいえないのが実情だ。

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