今年1月10日に発表されたBMWグループの2022年の納車台数は、グループ全体では前年より4.8%減少した239万9636台だった一方で、電気自動車とプラグインハイブリッドを合わせた電動車は35.6%、Mモデルは8.4%、それぞれ台数を伸ばしている。
具体的に車種を見ると、電動車では2月17日に国内発売されたばかりの「iX1」と、以前よりわが国で展開している「i4」やiX、i7、Mモデルでは「i4 M50」「iX M60」、そしてXMなどが、台数増に大きく寄与しているという。
この中でiX1は、エンジン車の「X1」とほぼ同じスタイリングを持つものの、残りはすべて、キドニーグリルを大型化した車種だ。この点だけ見れば、キドニーグリルの大型化は、電動車や高性能車についてはメリットになっているということになる。
もう1つ考えられるのは、メンツを重視するといわれる中国市場での伸長だ。
BMWとミニの2022年の販売台数は、中国で79万1985台、アメリカで36万1892台、ヨーロッパで87万7369台と発表されている。ちなみに2020年の数字は、中国で77万7379台、アメリカで30万6870台、ヨーロッパで91万2621台だった。
ヨーロッパが減少しているのに対し、中国とアメリカは増加しており、ヨーロッパと中国の差が縮まっていることがわかる。2022年のドイツの台数は25万2087台であり、国別では中国がほかを圧倒しているのである。
ロールス・ロイスのように
付け加えれば、BMWが21世紀初めに傘下に収めたロールス・ロイスの存在も、キドニーグリルのアピールに関与しているはずだ。
2022年、ロールス・ロイス・モーター・カーズは世界で6021台を納車し、118年の歴史上で最多の販売台数を記録したという。2020年は3756台だったというから、2年間で1.6倍という伸びを示したことになる。
ロールス・ロイスといえば、ノーズの中央にギリシアのパルテノン神殿を模したグリルがそびえることで有名だ。多くの人がこのグリルを頼りに、ロールスか否かを判別するのではないだろうか。となれば、キドニーグリルも“目立ったほうがいい”という考えになるのは、自然なことである。
しかしながらキドニーグリルを目立たせる手法は、すべてのBMWに反映しているわけではない。
2022年にフルモデルチェンジした「2シリーズ・アクティブツアラー」は、たしかにグリルの丈が伸びているが、同年やはり新型に切り替わった「2シリーズ・クーペ」については、先代と同等の大きさにとどめている。
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