スシローが「外食テロ」に打ち勝てた決定的な理由 続発する「外食テロ」に勝つ企業、沈む企業の差

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2014年には、まるか食品のカップ焼きそば「ペヤング」の異物混入、2014年~2015年にかけてはマクドナルドにおける異物混入が大きな問題となるなど、SNS上でさまざまな「異物混入」に関する話題が拡散した。

2018年~2019年にかけては「バイトテロ」が再び活発化。

昨年2022年には、スシローがおとり広告で消費者庁から措置命令を受けたり、「大阪王将」の元従業員が衛生管理に関する告発投稿をツイッターで行うなどの問題が起きており、やはり飲食店がらみの不祥事や炎上事件が多く見られている。

実は、飲食業界の不祥事、炎上事件は、一見すると同じようなものに見えても、時代による特徴が見られる。

トレンドの転換点となっていると筆者が考えるのが、2013年、2018年である。

2013年以前は、問題が顕在化するきっかけとなるのは、内部告発、メディア報道、お客様相談窓口が中心だった。ところが、同年には、「バカッター」というネットスラングが生まれたことに象徴されるように、多くの飲食店をめぐるトラブルは、ツイッターが着火点となっている。

東日本大震災が発生した2011年には、SNSが「情報インフラ」として普及し、自治体が情報提供のために活用したり、人々が被災者支援を行ったりしていたが、時間が経つに伴い、誹謗中傷や過激な言動を行って注目を浴びようとする動きも見られるようになったのである。

一方で、2018年から再活発化したバイトテロの多くは、動画共有サイトに迷惑動画がアップされ、SNSで拡散していることが多い。進研ゼミが小学生に対して行った「将来つきたい職業」調査で、2019年には「YouTuber」が男子で1位となったことに象徴されるように、多くの一般人がYouTubeで動画配信を行うようになったのがちょうどこの時期である。

動画共有サイトとSNSとのセットで炎上する傾向は2023年にも引き継がれているが、「迷惑系YouTuber」と新型コロナウイルス収束の影響が加わっていると見られる。

過去のトラブルから“リスクマネジメント”を学んだ外食業界

企業や店舗によって差はあるが、大手の飲食チェーンは、一般に従業員教育、業務のマニュアル化が進んでおり、個人経営の飲食店や家庭での料理と比べても、衛生管理は厳しい傾向がある。

異物混入などの衛生問題は、100%防止することは難しく、発生確率は低くとも、店舗数が多いと一定数は出てきてしまう。そして、大手や有名店であればあるほど、それが動画共有サイトやSNSに投稿されやすく、拡散も起きやすい。

スシローで迷惑動画が投稿されたからといって、「スシローが不衛生」ということはまったくないのだが、拡散した情報によって、消費者はバイアスがかかってしまうのだ。

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