スシローが「外食テロ」に打ち勝てた決定的な理由 続発する「外食テロ」に勝つ企業、沈む企業の差

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外食・食品企業をめぐる昨今の炎上事件の多くは、企業側の問題よりも、消費者、あるいは消費者を取り巻く情報環境の変化によって起きているといえる。

最近は、YouTuberの競争激化によって、問題行為で注目を集めようとする「迷惑系YouTuber」も存在する中、迷惑行為で注目を集めようとする「一般人」も出てきたというところだろう。

新型コロナウイルスの蔓延によって、人々の衛生意識は急速に高まったが、感染の収束で人々が外出するようになり、飲食店が目立ちたがり屋の顧客の標的にされるという事態になっている。

一方で、外食・食品業界側は、過去のトラブルの経験から学び、適切なリスク対応が行えるようになっているように見える。実際、直近の10年間を見る限り、消費者の生命や健康を害するような大きな不祥事はほとんどない。

「トラブルを起こさないように最大限の注意を払う」ということが、リスクマネジメントの大前提になるが、企業側がいくら気を付けていても、トラブルが発生するリスクはあるし、発生する可能性も高まっている。

トラブル発生時に取るべき対応策の「3原則」

トラブルが発生した時の対応策として、重要なポイントは下記の3点だと筆者は考えている。

1. (過剰ともいえるほどの)徹底した対策を講じる
2. 迷惑行為に対しては、厳然たる態度を取る
3. (自社ではなく)「顧客を守る」というスタンスを表明する

まさに、今回のスシローはこのような対応を取り、リスクを最小限にとどめたといえる。

1については、2014年の「ペヤング」の異物混入事件のケースが参考になるだろう。製造元であるまるか食品は、全商品の生産と販売を停止、販売停止中には、社長自身が小売店をお詫び行脚するという対応を行っている。

また2019年の大戸屋のバイトテロ時の対応も印象深い。このとき大戸屋は、従業員の再教育と店舗の清掃を行うとして、全店一斉休業を行っている。

トラブル自体が帳消しにされるわけではないが、企業側が「やりすぎ」と思われるほどの徹底した対応を打ち出し、本気度を示すことによって、顧客に対して「変わった」「これまでと違う」という印象付けをすることが可能になる。

2の「顧客による迷惑行為」については、従来、「企業側にも非はあった(「管理が不適切だった」等)」として、穏便に済まされることも多かった。しかし今、トレンドは変わりつつある。

スシローで迷惑行為を行ったのは高校生だったが、スシロー側は当事者とその保護者の謝罪を受け入れず、民事・刑事で法的措置をとる考えを示した。これまでであれば、「未成年に対して厳しすぎる」という批判も少なからず出たであろうが、今回はそうした意見は主流とはならなかった。

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