0円物件を250万円で売った「別荘わらしべ」の実話 空き家率は過去最高を記録、「空き別荘」も増加

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有名な避暑地の別荘を購入するなど夢のまた夢。それは大金持ちにしか叶えられないもの……では、なくなったのかもしれない。 

「ただ、0円でも数万円でもいわゆる格安物件というのは、“それなり”で、修理が必要な状態のものが多い。ちゃんときれいに維持された物件であれば、ある程度の値が付きますし、売れます。自分が購入した0円物件は、ずっと使われていなかったのでゴミ屋敷のような状態でした。それを掃除し、直せるところは直していきました」 

Aさんは最低限の泊まれる環境を整えた以降は、週末に0円別荘に泊まりながら徐々に過ごしやすいように直していったという。 

「ウッドデッキを作ったり、外壁を塗り直したりしましたが、やり方は全部ネットで調べました。建築関係の仕事をしている友人に手伝ってもらったりはしましたが。一気に理想の姿にしようとはせず、週末に作業がてら泊まって、徐々に徐々にという感じです」 

当然ながら修繕にはお金がかかる。とはいえ、かかった費用は30万円ほどだったという。 

「とにかくやれることは自分でやりました。廃材なども業者に頼めば数万円かかるようなところを、軽トラを借りてすべて自分で処分しました。週末に別荘を訪れて、直していくことを楽しく感じていたからできたのだと思います」 

リフォームした別荘を売却した理由 

別荘を所有するに至っては、たとえ0円物件だとしても諸経費が必要となり、厳密には“0円”では済まない。取得時には登記費用や固定資産税、0円物件は“贈与”とみなされるので贈与税が発生、その後も火災保険料や、光熱費などがかかる。 

「正直、そのあたりの費用はそれほどかかりませんでした。物件としての評価額が低いからです。たとえば贈与税であれば、110万円の基礎控除があるので、物件の評価額が110万円以下の場合は課せられません」 

自らの手で直したお気に入りの別荘をなぜ売りに出したのか。 

「ある程度、納得できるところまで直したら、この物件に“飽きて”しまって(笑)。また似たようなことをしたいなと思って、ネットで売りに出しました。今はそういったサイトもたくさんあり、数人の方に内見してもらい、250万円で売れました。それで近隣に別の別荘を購入しました。今はまた1軒目と同様に楽しみながら直しています。またこれもある程度のところで売却したり、民泊用物件として利用できたら嬉しいのですが(笑)」 

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