認知症を前向きに捉え、老人を解放しよう いわゆる「問題行動」は、理解不能ではない

「認知症を“救い”の視点から見直す」
『解放老人』の帯に書かれたこのフレーズに、思わず目が留まった。「認知症」と「救い」という、一見なじまない言葉の組み合わせに惹きつけられたのだ。
漂う、ほのかな明るさ
舞台は山形県南陽市の精神科病院、佐藤病院の中の「重度認知症治療病棟」と呼ばれる場所。そこには山形県内から集まってきた、重い認知症と判断された50人近いお年寄りが入院している。
著者の野村進氏は以前、著作『救急精神病棟』(講談社文庫)の取材で、当時は「重度痴呆症病棟」という名称だったこの施設を訪れたことがあった。
その際にこんな印象を抱いている。
世間に広く根付く認知症へのネガティブなイメージに違和感を持った著者は、2010年から結果的に足掛け5年にわたる、この病棟への取材に挑む。その結晶が本書だ。
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