維新・馬場代表「統一地方選は600議席を目標に」 「大阪モデルの成功を堂々と全国に訴えていく」

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塩田:維新に限らず、国政政党、全国政党は、「一枚岩の結束」と同時に、「党内の自由度の容認」「政党としての幅の広さ、懐の深さ」が求められます。そのバランスは。

馬場:党の原点は大阪での改革ですが、財政と行政の両面で、改革の実績を否定するような意見は、党内にはあまりないのでは、と私は思います。わが党の場合、一つの課題は徹底的に議論する、そのうえで民主主義の基本である多数決で決まったことには全員が従うという政治哲学があります。「それがいやなら出ていってください」ということで、そこは堅持してやっていきたいと思いますね。

政治家になった以上は総理を目指す

塩田:以前、インタビューしたとき、堺市議に当選した瞬間を振り返って「この業界に入った以上、絶対にトップになったると思った」と語り、衆院選初当選の場面では「首相を目指すには国会議員にならなければ、と挑んで、有資格者になったのが一番うれしかった」とお聞きしました。野党第2党の党首は、展開次第で、もしかすると首相も、という可能性がゼロではないステージです。政治家としての「初心」に変わりはありませんか。

馬場:政治家になった瞬間の思いはまったく変わっていません。トップの総理大臣を目指して頑張るということは、引退までおそらく変わらないと思います。不可能ではない、絵空事ではないというレベルまでは来ていると思っていますので、それを目標に。

塩田:日本のトップを担う人材として、必須の資質、手腕はどんな点だと思いますか。

馬場:うーん、どこですかねえ。組織を動かしていくことは、おこがましいけど、昔からそのポジションにいて経験を積み、慣れている面があります。多様化している大多数の国民の合意を得られるような政策をどう打ち出していくか、そこだと思いますね。

(このインタビューは2023年1月20日に行いました。)

【インタビューを終えて】

過去1年半に第1党の自民党、第2党の立憲民主党、第3党の維新で新党首が誕生したが、迷走が続く岸田首相を含め、与野党の「リーダーの人材難」を心配する国民は少なくない。安倍元首相は他界の直前、都内でのスピーチでトップリーダーの条件として「運と多少の人柄」を挙げた。必要な資質は「プラス実力」の3要素である。
加えて、大転換期の「危機の現代」の指導者は、党内世論ではなく国民の「大きな民意」を吸収・掌握する資質、必要なら「大きな仕掛け」もいとわない柔軟思考と先見力と決断力、さらに立国の基本路線や将来ビジョンといった「大きな政治」を構想し、実行する能力という3条件が求められる。
維新の馬場氏は、「大きな民意」への感度、「大きな仕掛け」の手腕と力量は、備えありと映る。「8番・キャッチャー」「若い世代へのバトンタッチ役」が大化けするかどうかは、「大きな政治」への挑戦が最大のカギだろう。(塩田潮)
塩田 潮 ノンフィクション作家、ジャーナリスト

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しおた うしお / Ushio Shiota

1946年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
第1作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師―代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤』『岸信介』『金融崩壊―昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『安倍晋三の力量』『危機の政権』『新版 民主党の研究』『憲法政戦』『権力の握り方』『復活!自民党の謎』『東京は燃えたか―東京オリンピックと黄金の1960年代』『内閣総理大臣の日本経済』など多数。

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