魚が獲れない日本「養殖でいい」は甘すぎるワケ 世界人口80億人、供給が追いつかない水産資源

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2030年までに追加で必要とされる1400万トンという数字は、世界各国の漁獲量(生産量)と見比べるとその大きさがわかります。2020年の数字で日本421万トン(生産量世界第10位)+アメリカ470万トン(同7位)+ロシア537万トン(同6位)の3カ国全量(1428万トン)とほぼ同じ莫大な数字なのです。

さらに2030年には、世界の1人当たり水産物の年間消費量が21.5kgに増加するという見通し(FAO)もあり、その場合はさらに約900万トンの供給量が必要になります。

天然と養殖の水産物生産量の推移

「天然の魚が減っているのであれば、養殖の水産物を増やせばよいのではないか」と思う人がいるかもしれません。次のグラフは、世界の水産物の生産量推移を表しています。青色の実線の折れ線グラフが天然、紫色は養殖物の推移です。そして水色の点線はその合計値を示しています。2020年時点で天然物は9142万トン、養殖物は1億2258万トンとなっています。

(出所)FAO・SOFIA 2022 海藻類を含む

すでに養殖物の生産量は天然物を上回っており、その差が広がっていることがわかります。必要な水産物の供給量を維持していくためには、養殖物の生産量増加は不可欠です。

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