死者4300人「トルコ・シリア地震」被害深刻な理由 トルコやシリアでも脆弱な地域で被害大きく
シリアでは、厚生省や反政府勢力支配地域の救助隊からの報告によると、死者数は1450人を超えている。イドリブ、ラタキア、アレッポの各都市では、病院が負傷者でいっぱいになった。絶望した家族がシャベルや素手で生存者を探し、救助隊は場所によってはヘッドランプや投光器を使い、寒さの中、夜通しで掘り進めている。
イスタンブール工科大学の気象・災害管理学部のミクダット・カディオール教授は、「これは時間と低体温症との戦いだ」と述べた。「人々は寝巻きのままで被災し、17時間も瓦礫の下敷きになっている」。
イスラエルやロシアも支援の姿勢
国連、EU(欧州連合)、アメリカ、インド、イギリス、イスラエル、ロシア、さらには戦争で荒廃したウクライナなどの国々が、捜索救助隊、犬、医療チーム、人道支援などを送るため、奔走した。しかし、被害の全容を把握し、死者を数え、被災した人々の家と生活を再建することは、まだ始まったばかりであることは明らかだった。
今回の地震は、トルコの中でも特に脆弱な地域であるシリアとの南部国境沿いで発生した。この地域のトルコ系住民と並んで、国内には360万人のシリア難民が暮らしており、その多くが職探しに苦労し、深刻な貧困状態に陥っている。また、トルコは高いインフレに悩まされており、家計を圧迫し、与党とその代表であるエルドアン大統領への不満を煽っている。
エルドアン大統領は5月14日に予定されている大統領・議会同時選挙で再選を目指しているが、一部の世論調査では、野党政党からの候補者がエルドアン大統領を打ち負かす可能性が示唆されていた。
同大統領の政権は2021年、南部の別の地域で発生した山火事への対応が不十分であったとの批判に直面した。地震被災者の膨大なニーズに対する政府の対応の有効性は、エルドアンと同氏が率いる公正発展党の世論調査での結果に影響を与える可能性がある。
複数の地層が交差するトルコは昔から地震が多く、政府は建物の安全性を高めることを目的とした規制を設けている。しかし、周囲の建物が立っているのに、個々の建物が土煙を上げて倒壊している映像は、規制の緩さや汚職が関係しているのではないかという疑問を投げかける。
アダナの月曜日の朝、トゥバ・シク(46)は、両親が住んでいたアパートから道を隔てたところに立っていた。彼女は週末にそこで一夜を過ごしたこともあった。しかし、今やアパートはなくなり、両親もいない。彼女はこの災害を不良建築のせいだと訴える。「1階の店舗は常に工事中だったんです」とシクさん。「これだけの工事が許されているのだから、これは必然的なことだったのです」。