アップル新「HomePod」3~4週間予約待ちのワケ 「進化というより最適化」4万4800円スピーカー

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

今回のHomePod(第2世代)を聴いてみて、空間オーディオの巧みさ、またステレオ再生であっても、5つのツイーターで分離した音場作りの満足度の高さが向上している点は驚かされた。

ハードウェアはやや簡素に最適化されているが、これを補って余りあるサウンドを作り出しているのは、アップルが近年取り組んでいる「コンピュテーショナルオーディオ」だ。

アップルが育てた「新しい世代の音楽的価値観」

コンピュテーショナルオーディオは、再生する音を分析して、使用するハードウェアで最適な音楽体験を作り出すために、ソフトウェアやアルゴリズムを駆使することを指している。

その中には2つのスピーカーで、包み込まれるようなサラウンドを再現する「空間オーディオ」も含まれる。

例えば、iPhoneの本体にある2つのスピーカーであっても、映画を再生すると、映画館のようなサウンド体験が得られる。セリフは画面の真ん中から聞こえてきて、背景を走るクルマの音は後方を左から右に駆け抜ける、といった具合だ。

これがアップルが空間オーディオと呼んでいる体験であり、コンピュテーショナルオーディオのひとつの効果だ。それ以外にも、再生する場所への最適化や、再生するデバイス(スピーカー)でより良い音が楽しめるようにする調整、サウンドソースの分離、最近Apple Musicに追加されたボーカルの音量を下げるといった処理を実現してきた。

つまりアップルは、今まで電気的・物理的な緻密さを追求してきた音楽再生の世界に、ソフトウェアとアルゴリズムによる異なる進化の方法を持ち込み、そのわかりやすい体験として自社の音楽サービスで「空間オーディオ」対応の楽曲を配信し、「新しい音楽体験の価値」を地道に作り上げてきた。

そうした前提となる環境が整ったうえで満を持して登場したのが、第2世代のHomePodだった。

次ページステレオペアにするか、悩む
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事