住宅ローン金利「引き上げ」に金融機関のためらい 日本銀行のサプライズ利上げの影響は限定的?

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住宅ローン金利が大幅に上昇すれば、価格高騰が続く新築マンション市況も悪化しかねない。写真と本文は直接関係ありません(撮影:今井康一)

転換を迎えつつある日銀の低金利政策に気をもんでいるのが、住宅ローンを展開する金融機関だ。

日銀は2022年12月20日の金融政策決定会合で、長期金利の変動幅の上限を0.25%から0.5%に拡大した。これに伴い、金融機関の資金調達コストが上がったことで住宅ローンの固定金利は上昇した。2023年1月、メガバンク3行は10年固定型の住宅ローンの基準金利を0.18~0.30%引き上げている。

住宅ローンには、返済期間中に金利が変わらない「固定金利型」と、半年ごとに金利を見直す「変動金利型」がある。

今回、長期金利が変動したことで上昇するのが住宅ローンの固定金利だ。消費者の多くが利用している住宅ローンの変動金利は、短期金利に左右されるため現時点では低水準を維持している。とはいえ、本格的な金融引き締めが始まれば、変動金利も上昇し、借り手の返済額が増加するリスクがある。

住宅ローンの借り換えに動く人が増加

住宅ローン金利の推移

日銀の発表を受けて、リスクのある変動金利から返済額を固定できる固定金利への借り換えを検討する消費者も少なくない。例えば、auじぶん銀行では2022年12月20日以降、1日当たりの固定金利への借り換え申込件数が従来よりも倍増した。

ただ、変動金利の”人気”も根強いようだ。auじぶん銀行の住宅ローン推進企画部・松岡慶マネージャーは、「新しく住宅ローンを借りる消費者の大半は変動金利を選んでいる。変動金利から固定金利への借り換え申し込みが急増したことは確かだが、全体に占める割合は(現時点では)大きくない」と話す。

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