コーセーの秘蔵っ子、ジルスチュアートの秘密、他社大苦戦の中価格化粧品市場で絶好調
企業名を伏せて展開 手本は最大手ロレアル
ただし、当初から期待が高かったわけではなかった。百貨店関係者は、「カウンターはピンク色が強すぎて、化粧品フロアの中で浮いてしまう。製品も“かわいすぎて万人受けしない”というのが第一印象」と明かす。しかし今や評価は一変。改装時にカウンターを拡大する百貨店も多い。
製品にはコーセーという会社名は印刷されておらず、コーセーの1ブランドだと知っている女性は少ない。そうすることで、独特の世界観を打ち出すことに成功している。このように、コーセーの社名を冠さない“アウト・オブ・ブランド”はコーセーの売上高の45%を占め、日本の化粧品メーカーの中では突出している。
アウト・オブ・ブランドの育成は、世界最大の化粧品メーカー、仏ロレアルの影響を受けた戦略だ。両社は63年から96年まで提携関係にあり、日本でサロン(美容院)事業などで協業していた。ロレアルは化粧品メーカーを買収することで特徴的なブランドを増やし、顧客層の拡大を図っている。コーセーも個性が確立されたブランドと手を組み、その個性を生かすことを重視している。
1月末、資生堂は国内化粧品の低迷で10年度の業績を営業減益に下方修正したが、コーセーは増益を見込む。アウト・オブ・ブランドの好調がその背景にあることは間違いない。小林社長は、「女性の価値観が多様化しており、独自の世界観や特徴を持つブランドが伸びている」と分析。ジルスチュアートのような秘蔵っ子が力を発揮している。
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(島田知穂 =週刊東洋経済2011年3月26日号)
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