コーセーの秘蔵っ子、ジルスチュアートの秘密、他社大苦戦の中価格化粧品市場で絶好調
化粧品口コミサイト大手、アットコスメが81万件の一般ユーザーの評価で選ぶ「ベストコスメ大賞」。2010年度、6万品目の化粧品の中から、1位の総合大賞に輝いたのは、「ジルスチュアート」というブランドのチーク(ほお紅)「ミックスブラッシュコンパクト」だった。チーク部門では3年連続1位を記録し、同サイトで人気化粧品のお墨付きともいえる“殿堂入り”を果たしている。
ジルスチュアートは米国の女性デザイナー、ジル・スチュアート氏とコーセーが提携して立ち上げた化粧品ブランド。テイストは「キュート、プリティ、セクシー」。売り場は宝石箱をイメージしたピンク色を基調とし、化粧品を手にする女性客の口から思わず「かわいい!」という言葉がこぼれる。
05年の販売開始後、人気に火がついた。07年、クリスマス限定の化粧品セットを発売したところ、発売日は開店前から女性が殺到。小田急百貨店新宿店の階段には売り場がある2階から8階まで長蛇の列ができた。百貨店や化粧品専門店など計48店と店舗数が増えた現在でも、限定商品の販売初日には行列ができる。
ジルスチュアートの価格帯は1000~7000円程度。市場が大苦戦している価格帯だ。リーマンショック以後、化粧品市場でも低価格志向が加速。ドラッグストアなどで販売されている1000円以下の低価格に需要がシフトし、百貨店で売られている3000~5000円の中価格品は縮小傾向にある。資生堂「マキアージュ」など、各メーカーの主力ブランドも例外ではない。
その中でもジルスチュアートは毎年2ケタ増。韓国、香港、台湾にも進出し、6年で数10億円の中堅ブランドに成長した。