コーセーの秘蔵っ子、ジルスチュアートの秘密、他社大苦戦の中価格化粧品市場で絶好調

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徹底した“かわいい”で日本女性の心をつかむ

化粧品よりアパレルで先行したジルスチュアートは、日本でも1996年、サンエー・インターナショナルと提携し販売開始。「日本人以上に日本女性が考える“かわいい”がわかるデザイナー」(コーセーの三上貴子ブランドマネージャー)というだけあって、売り上げの大半は日本だ。そのジルにとって、化粧品を出すことは長年の夢であり、交渉先に選んだのがコーセーだった。

しかし、当時のコーセーは経費のかさむ新製品比率が売上高の4割を超え、効率化が課題になるなど、新ブランド立ち上げに積極的とはいえない状態だった。しかし、ジル本人が直接、小林一俊社長を訪問して数年越しで説得。熱意に押される形で、05年、コーセーはライセンス契約を結ぶことになる。

コーセーはプロジェクトチームを結成。ブランドを統括するマネージャーに任命された入社7年の三上氏を筆頭に、ジルの女性らしい個性を大切にするため、20~30代の女性がメンバーとして選ばれた。

製品開発は試行錯誤の連続。ジル本人から送られてくる新製品のデザイン画は類を見ないもので、チークの粉末をコンパクトに入れる際の仕上げに刻印をおすなど、最終工程に手作業を必要とするものばかり。製造工程の自動化は困難だったが、デザインに妥協はしなかった。

「一目見て“かわいい”という声が漏れるまで、こだわり続ける」(三上マネージャー)徹底ぶりが奏功し、購入者層は想定していた10代後半から20代だけでなく、30代、40代に広がっている。

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