中銀の仕事は引き続きインフレ率を下げること 市場の楽観と金融環境の緩みについて懸念
世界の中央銀行は、インフレが持続的に鈍化していることが完全に明白になるまでは利上げの手を緩めてはならないと、国際通貨基金(IMF)高官が論じた。
消費者物価の総合インフレ率はエネルギー価格が下がった後多くの国で低下したが、コアインフレへの圧力はまだピークに達していない可能性があると、IMF金融資本市場局のトビアス・エイドリアン局長が指摘。これはインフレへの対応が不十分であるリスクが依然、金利を引き上げ過ぎるリスクより大きいことを意味すると付け加えた。
エイドリアン氏は「中央銀行の第一の仕事は引き続き、インフレ率を目標水準に戻すことだ。現在の方針を堅持し引き締めを続けることが、われわれの欲するところだ」と語った。
今週は米連邦準備制度とイングランド銀行(英中銀)、欧州中央銀行(ECB)が政策決定を発表するが、どの中銀の当局者も利上げのペースは鈍化するにしてもまだ終了はしないと強調している。
エイドリアン氏は「中銀の発言と行動にとても安心しているが、市場の楽観と金融環境の緩みについては若干懸念している。市場は今後のインフレ動向についてかなり楽観的な見方をしている」と話した。
米国や欧州の債券利回りは昨年終盤に比べ低下し、金融当局が目標達成に近づきつつあることへの信頼を示唆した。景気減速がこのセンチメントの基になっている。
「市場はインフレ率が1年内に目標に近づくという予想を織り込んでいるが、もちろん、そこには多大な上振れリスクがある。わずかな景気減速がインフレの大幅な低下を伴うという楽観は中銀にとっては理解できない。インフレが長期にわたり高止まりするリスクは存在する」とエイドリアン氏は述べた。
IMFはシンガポール時間31日に公表した最新の世界経済見通し(WEO)で世界のインフレ率予想を引き上げ、今年を6.6%、2024年を4.3%と見積もった。22年は8.8%。予想されるインフレ率は新型コロナウイルス禍前の水準を上回っている。国別のインフレ率予想は示さなかった。
IMFは、政策引き締めが需要とインフレを後退させ始めている兆候が表れつつあるものの、影響の全てが顕在化するのは来年になってからだろうとの見方を示した。
「インフレ率が持続的に低下するまで、中央銀行はなお引き締めを続ける必要がある」とエイドリアン氏は述べた。
原題:Central Banks Told to Keep Rate Hiking Until Inflation All-Clear(抜粋)
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著者:Jana Randow
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