米紙の行くべき街に「盛岡」日本人が知らない魅力 NYTで紹介、個性ある「個人店が光る」大人の街
河南地区は、盛岡の歴史を色濃く伝えるエリアで、近年まで地方銀行の支店として使われていた明治期の西洋建築「岩手銀行赤レンガ館」を筆頭に、明治・大正期の建築が今も現役で文化施設として活用されている。
中津川沿いには、風情のある喫茶店「ふかくさ」、岩手の工芸や手仕事の品々を扱う「shop+space ひめくり」……、川と並行した通りに面して、江戸時代後期から続く雑貨商「ござ九」、老舗喫茶店「クラムボン」、オリジナルTシャツ専門店「6jumbopins」、南部鉄器の工房や染物店……。城下町だった盛岡の風情を伝え、町名も「紺屋町」と情緒がある。
そんな河南地区にあるブックナードは、店主の感性で選んだ新刊や古書が並ぶ書店。海外で買い付けた画集や日本の古い美術書、サブカル系の雑誌などエッジの利いたセレクトでファンが多い。文化の香り豊かなこのエリアにぴったりの個性あふれる店だ。
個人経営の店が光るまちのミニコミ誌
「盛岡は個性ある個人経営の店の存在感があるまち」。そう話すのは、市中心部で育ち、盛岡の日常をつたえるミニコミ誌「てくり」を発行する木村敦子さん。自身はデザイナーで、盛岡在住の編集者やライターらとともに「LLPまちの編集室」を立ち上げ、2005年に「てくり」を創刊した。
<伝えたい、残したい、盛岡の「ふだん」を綴る本>をテーマに年2回程度発行しており、創刊号の『橋をわたって、川をこえて。』から『文学の杜にて。』『お酒とわたし。』、ブックレット『盛岡の喫茶店』など、情報誌や観光目線のガイドブックとは異なる切り口で、盛岡の人たちに愛される店や盛岡のカルチャーを創り出してきた人たちを紹介してきた。
今回の推薦文で表された盛岡のまちの風情は、まさにてくりが伝えてきた盛岡の暮らしやカルチャーそのもの。
木村さんはクレイグさんの推薦文を読み、盛岡に魅力を感じる感性は国を問わず共通で、文化的なものが好きな人には響く街なのだと実感したという。「海外からきちんと言葉にしてもらったことで、自分たちが好きな盛岡を再確認できたし、てくりも改めて沢山の方に読んでいただければ」とほほえむ。
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