CoCo壱番屋の「メニュー表」に見る客単価向上の妙 トッピングを嫌味なく、しかし粘り強く提案

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これは、メニュー表の左上からスタートし、表の中で視線を動かしつつ、最後には右下を見ることでオーダーを完了させるスタイルのメニュー表で、「サイドメニューやトッピングも頼んでね」という店側の強い意志を表現しやすい形態だ。

メニュー表
左上から右下まで視線を動かせ、サイドメニューやトッピングを注文させる。本記事3枚目の写真とあわせて見てみてほしい(編集部作成)

CoCo壱番屋の実際のメニュー表を見てきた今では「たしかにそういう作りになっているな」と感じるとともに、CoCo壱番屋のメニュー表の作りのスゴさを感じていただけることだろう。

値下げは行わず、価値を高めるCoCo壱番屋イズム

取材した日、食べたカレー。メニュー表に思いを馳せながら(筆者撮影)

CoCo壱番屋は、創業以来一度も値下げをしたことがないという。2000年以降のデフレ経済下で、多くの飲食チェーン店が価格競争を行っても、CoCo壱番屋はその競走にはいっさい参加しなかった。

メニュー表は君に語りかける
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なぜなら、CoCo壱番屋創業者であり、ルーツとなった喫茶店「バッカス」のオーナーだった宗次徳二氏が掲げた経営哲学である「現場主義の接客第一」が貫かれているからにほかならない。それは、つねにお客様の声に耳を傾け続けることを最重要視し、お店はもちろんお店の周辺の掃除を毎日すること、といった行動に表わされている。

安易な値下げに走るのではなく、お客様によりよい価値を感じていただくことで、結果的に経営の持続性を向上させる。それが今日のCoCo壱番屋の成功へつながっているのではないだろうか。

そう思うと、「カレーをもっと自由に」というメッセージから、創業者の哲学が伝わって来ませんか?

BUBBLE-B 飲食チェーン店トラベラー・音楽家

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ばぶる・びー

1976年生まれ。滋賀県出身。石山高校、近畿大学卒業。全国各地の飲食チェーン店の本店をめぐるライフワークを続け、チェーン店専門の研究家として活躍。著書に『全国飲食チェーン本店巡礼~ルーツをめぐる旅』(大和書房)。

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