「グーグル解体」米司法省の真の思惑を読み解く AI新時代に向けた競争環境整備が狙いか?

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ほかにも人材募集や各種シェアリングサービスなど垂直統合型のオンラインサービスは総じて検索との関連性も深い。今後裁判に発展し、グーグルからの流入動向が数値化されると、そうしたグーグルの検索による影響、さらにはそこからつながるさらに幅広いデジタル広告へと追及が進んでいくだろう。

欧州委員会は実際にグーグルが電子商取引サービスへの検索誘導に関し、反競争的行為があったとして2017年と2018年に約80億ドルの罰金を科している。

言い換えれば、そうした追及が行えると確信したからこその提訴とも言えるが、司法省が見据えているのは広告に関連するさまざまなテクノロジーの進化、及びより心地よく使いやすく公平性の高い広告関連サービスの発展だけではなく、その先を見据えているのかもしれない。

最新AIによる競争激化が引き金に

背景としてAI技術の進歩が、こうしたグーグルの検索支配に大きく影響を与える可能性があるからだ。グーグルは長年、さまざまな形で司法省や欧州委員会などと戦ってきたが、それでも常にインターネット検索を支配してきた。

昨今のAI開発競争においても、人々の検索履歴やその結果に対するリーチなどによりAI研究における優位性を築いてきた。しかしこの分野ではOpenAIが画期的なAI技術を開発し続けている。特に人間的で自然な対話が可能なChatGPTは大きな注目を集め、さまざまなサービスを開発する基盤になろうとしている。

このOpenAIには2019年にマイクロソフトが10億ドルを出資し、ChatGPTの前身であるGPT-3を独占的に使用して同社のOfficeファミリーで活用するなど、OpenAIのサポーターとなっていた。

さらにマイクロフトは直近、今年になって100億ドルをOpenAIに投資すると発表。ChatGPTを検索サービスBingに組み込む計画だ。

ChatGPTを組み込むことでユーザーは、より自然な会話スタイルで目的の情報へと辿り着いたり、文章の中からキーワードを選別し、それぞれの強弱や意図を理解したうえで目的の情報へと導いてくれるようになるだろう。

グーグルは早速、ChatGPTに対抗するサービスを含む複数のAI技術開発について声明を出しているが、今後、競争環境は大きく変化する可能性がある。これは早速のよい兆候だろう。この新しい競争軸がグーグルにとって重要であることを自ら証明しているからだ。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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